肥後医育振興会 理事長 西 勝英 氏 |
【司会】 肥後医育振興会 常任理事 片渕 秀隆 氏 |
【座長】 熊本大学病院 新生児学寄附講座 特任教授 三渕 浩 氏 |
【座長】 熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学講座教授 近藤 英治 氏 |
【講師】 熊本県周産期医療協議会会長 大場 隆 氏 演題:【講演@】周産期医療:2つの命を守るネットワーク |
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【講師】 熊本市民病院産婦人科産科部長 本田 智子 氏 演題:【講演A】産科医療の立場から:母子ともに安全な出産をめざして |
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【講師】 熊本大学病院総合周産期母子医療センター新生児部門講師 岩井 正憲 氏 演題:【講演B】新生児医療 〜赤ちゃんを守り育む最初の1歩〜 |
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【講師】 社会医療法人愛育会福田病院病院長 河上 祥一 氏 演題:【講演C】周産期医療と地域の関係について |
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【講師】 熊本県菊池保健所所長 劔 陽子 氏 演題:【講演D】菊池保健所における新型コロナ陽性妊婦への対応 |
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「母と児の2つの命を守るために」と題した第75回肥後医育塾公開講座が1月16日、熊本市中央区の市医師会館で新型コロナウイルス感染症拡大防止のため無観客で開催された。主催は公益財団法人肥後医育振興会、一般財団法人化学及血清療法研究所、熊日。
肥後医育振興会理事長の西勝英氏が主催者あいさつを行い、常任理事の片渕秀隆氏が司会を務めた。「診療連携」を年間テーマとする3回シリーズの最終回の今回は、熊本大学病院の三渕浩氏と同大大学院の近藤英治氏の2人が座長を務め「周産期の連携」が取り上げられた。「母親と赤ちゃんを守るには多様な連携が必要です。本日は熊本の現状や取り組みについて各分野の5人の専門家に講演いただきます」との座長あいさつで講演が進行。最後に質疑応答も行われた。
Q それぞれの専門分野から周産期医療に望むことは何でしょうか。
A 長期的には、新生児科やNICUのスタッフを志す小児科医が増えることを願っています。当面の課題としては、新型コロナに感染した妊婦さんを外来で診る体制が不足しているので、それが改善できるといいと思います。(大場)
周産期母子医療センターに入院が決まった妊婦さんについて、その方の合併症や家庭環境などについての情報提供を地域のクリニックに問い合わせることがありますので、その際は速やかな情報提供をお願いします。(本田)
熊本大学病院では社会的な支援が必要なご家族の新生児がNICUに入院することがあります。退院が可能でも育児環境の調整などで退院日が延び、病床が不足することがあります。速やかな退院に向けて行政の尽力をお願いしたいと思っています。(岩井)
一番心配なのは妊婦が突然に運ばれてくる、飛び込み分娩です。妊婦の感染症や合併症のリスクが分からず、生まれてくる子どもの養育問題もあるので、妊娠していることが分かったら、周囲や地域の方々が本人に産婦人科の受診を勧めてください。(河上)
新型コロナ対応では、発熱の患者さんを病院で診ていただくことが一番の願いです。今後もより良い地域医療のため、顔の見える関係を各医療機関と継続したいと思っています。(劔)
Q 妊娠中、車での移動は流産などのリスクがありますか。
A 車の性能や道路状況を考えると問題はないと思われますが、シートベルトは必ず締めてください。(大場)
Q 妊娠中の新型コロナワクチン接種は安全ですか。
A ワクチンの効果で母体に抗体ができると胎児にも抗体が移り、母乳にも抗体が含まれています。接種による副作用は人によって異なりますが、接種しないより、接種する利益が勝ると考えられます。(岩井)
5〜11歳向けの新型コロナワクチンの接種が3月からの予定で準備されていますので、そちらの接種も推奨したいと思います。(三渕)
Q 出産直後に家族がフォローできることは、何かありますか。
A 出産後はうつ状態になるケースもあるので、産婦さんをいたわってあげてください。本人の頑張り過ぎや疲労の蓄積に注意し、優しく見守ってあげてください。(本田)
Q 里帰り分娩で気を付けることがありますか。
A 妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など、リスクの高い妊婦さんは、かかりつけと里帰り先の両方の病院に相談し、感染状況も考慮して里帰りの時期を決めてください。(河上)