肥後医育振興会 理事長 西 勝英 氏 |
【司会】 肥後医育振興会 常任理事 片渕 秀隆 氏 |
【座長・講師】 熊本大学大学院生命科学研究部 血液・膠原病・感染症内科学講座 教授 松岡 雅雄 氏 演題:【講演@】新たなウイルスの脅威と人間 |
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【座長・講師】 熊本大学大学院生命科学研究部 呼吸器内科学講座 教授 坂上 拓郎 氏 演題:【講演A】正しく知って正しく予防 〜新型コロナウイルス感染症〜 |
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【講師】 熊本市新型コロナウイルス感染症対策課 副課長 迫田 貴美子 氏 演題:【講演B】新型コロナウイルス感染症における保健所の活動について |
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【講師】 熊本市民病院感染症内科 診療部長 岩越 一 氏 演題:【講演C】熊本市民病院の取り組み 〜入院加療生活の問題点と対策〜 |
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【講師】 荒尾市民病院 救急科医長 田畑 輝海 氏 演題:【講演D】新型コロナウイルス感染症に対する有明地域の取り組み |
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「新型コロナウイルス感染症における診療連携」と題した第73回肥後医育塾市民公開講座が7月11日、熊本市中央区の熊本テルサで開かれた。「診療連携」を年間テーマとする3回シリーズの初回で、新型コロナウイルス感染拡大防止のため参加人数を限定。市民ら約90人が聴講した。主催は公益財団法人肥後医育振興会、一般財団法人化学及血清療法研究所、熊本日日新聞社。講演内容は動画でも配信される。
肥後医育振興会理事長の西勝英氏の開会あいさつのあと、常任理事の片渕秀隆氏の司会で熊本大学大学院生命科学研究部教授の松岡雅雄氏と坂上拓郎氏が座長を務め、3人の専門家とともに講演。最後に各講演者が事前に募集した質問に答えた。
Q 新型コロナウイルス感染は、なぜここまで拡大したのですか。
A 感染しても無症状の人がいるので、そうした人が別の国に移動して感染を広げました。また呼吸器系の感染症であるため、飛沫感染で広がる点が大きく影響しています。およそ100年前に世界的に流行したインフルエンザ「スペイン風邪」も呼吸器系の感染症でした。(松岡)
Q 感染者数の増減に、季節や行政の政策が関係していますか。
A 現在では季節の影響は小さいと考えられています。最も影響が大きいのは人と人の接触です。政策による行動規制が解除されると、社会活動で感染者が増える傾向にあり、クラスター(感染者集団)が発生するのも人が集まる場所になります。(坂上)
Q 身内が抗がん剤治療を受けているので、免疫力低下による感染が心配です。これまで通り治療を受けても大丈夫ですか。
A 抗がん剤の作用によって免疫力が低下するなどの期間がありますが、診察医に相談して適切な時期に、抗がん治療を受けてください。ワクチンも同様です。そしてこの身内と時間をともにできないつらい時期をやり過ごしていただきたいと思います。(岩越)
Q コロナ禍で病院の面会が難しくなっていますが、家族とコミュニケーション上、身につけておいた方がいい技能などはありますか。
A 高齢者の方もスマホの使い方に慣れておかれた方がいいと思います(田畑)。70代、80代の方はスマホの習熟に時間がかかりますので、今のうちからの練習をお薦めします。(岩越)
Q 県内のコロナ対策への取り組みで特徴的な事例はありますか。
A 阿蘇地域でも有明の事例を参考にクラスターが発生しそうなところに事前に看護師を派遣していました。県南では自宅やホテル療養の人の外来診療体制を整備している自治体があります。有明地域では講演の内容のほか、かかりつけ医の皆さんと感染症の勉強会を始めました。(田畑)
Q 保健所が持続的に機能を発揮できるようにするため、改革が必要なように思われます。
A 熊本市は昨年4月からコロナ対策を概ね1つの課で担当する体制となりましたが、今後は次の2点に取り組みます。一つは人員体制の強化で、感染者が増える前に人員を増員します。もう一つは業務の効率化で、保健所でないとできないことに業務を集中します。検査で陽性となった患者さんを療養先にお連れする搬送業務などは改善の余地があると考えています。(迫田)