肥後医育塾公開セミナー

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平成29年度 第1回公開セミナー「呼吸器病医療の進歩と社会」

司会・講師


肥後医育振興会理事長
熊本大学名誉教授
医療法人丸田病院理事長・院長
西 勝英(にし かつひで)


    肥後医育振興会理事長
    熊本大学名誉教授
    医療法人丸田病院理事長・院長
    西 勝英(にし かつひで)

【司会】
肥後医育振興会常任理事
くまもと江津湖療育医療センター総院長
遠藤 文夫(えんどう ふみお)

    【司会】
    肥後医育振興会常任理事
    くまもと江津湖療育医療センター総院長
    遠藤 文夫(えんどう ふみお)

【座長】
社会保険大牟田天領病院院長
熊本大学名誉教授
興梠 博次(こうろぎ ひろつぐ)

    【座長】
    社会保険大牟田天領病院院長
    熊本大学名誉教授
    興梠 博次(こうろぎ ひろつぐ)

【講師】
熊本大学大学院生命科学研究部
呼吸器外科学分野教授
鈴木 実(すずき まこと)

演題:講演@ 肺がん治療の最前線 外科治療
    【講師】
    熊本大学大学院生命科学研究部
    呼吸器外科学分野教授
    鈴木 実(すずき まこと)

    演題:講演@ 肺がん治療の最前線 外科治療
【講師】
熊本地域医療センター総合診療部長
柏原 光介(かしわばら こうすけ)

演題:講演A 肺がん治療の最前線 内科治療
    【講師】
    熊本地域医療センター総合診療部長
    柏原 光介(かしわばら こうすけ)

    演題:講演A 肺がん治療の最前線 内科治療
【講師】
熊本大学大学院生命科学研究部
放射線治療医学分野准教授
東家 亮(とうや りょう)

演題:講演B 肺がん治療の最前線 放射線治療
    【講師】
    熊本大学大学院生命科学研究部
    放射線治療医学分野准教授
    東家 亮(とうや りょう)

    演題:講演B 肺がん治療の最前線 放射線治療
【講師】
たかの呼吸器科内科クリニック院長
一般社団法人くまもと禁煙推進フォーラム副理事長
高野 義久(たかの よしひさ)

演題:講演C 大気汚染と喫煙と社会
    【講師】
    たかの呼吸器科内科クリニック院長
    一般社団法人くまもと禁煙推進フォーラム副理事長
    高野 義久(たかの よしひさ)

    演題:講演C 大気汚染と喫煙と社会
【講師】
熊本中央病院 呼吸器内科部長
平田 奈穂美(ひらた なおみ)

演題:講演D ぜんそくとCOPD(たばこ肺)治療の最前線
    【講師】
    熊本中央病院 呼吸器内科部長
    平田 奈穂美(ひらた なおみ)

    演題:講演D ぜんそくとCOPD(たばこ肺)治療の最前線

セミナーの内容

  第61回肥後医育塾、第27回国際喘息学会日本・北アジア部会公開講座「呼吸器病医療の進歩と社会」が10月7日、熊本市中央区のホテル熊本テルサであり、約250人が聴講した。主催は公益財団法人肥後医育振興会、一般財団法人化学及血清療法研究所、熊本日日新聞社、第27回国際喘息学会日本・北アジア部会。
 肥後医育振興会理事長の西勝英氏の主催者あいさつで始まり、同振興会常任理事の遠藤文夫氏が司会、社会保険大牟田天領病院院長の興梠博次氏が座長を務め進行した。5人の医師が演壇に立ち、肺がんやぜんそくの治療法と予防法、たばこによる肺障害と発がんに関する最新情報を話した。最後にQ&Aコーナーもあり、講師らが聴講者からの質問に答えた。

ホテル熊本テルサ(熊本市中央区)で開かれた公開セミナー。約250人が参加し、各講演に熱心に耳を傾けた
講演の後は「Q&A」コーナーも設けられ、各講師が来場者からの質問に答えた(写真は会場)

Q&Aコーナー

胸部CT検査で肺の右上葉にすりガラス状の淡い陰影が見つかりました。この陰影が消える治療はないものでしょうか。(64歳女性)
柏原 肺がんの陰影には、すりガラス状の淡いものや、白い塊のものがあります。淡い場合は急に進行して転移することはあまりありませんが、4カ月後、12カ月後、24カ月後のCT検査による経過観察が必要です。CT検査は度重なると被爆のリスクがあるので、実施基準が設けられています。もし4カ月後に陰影が消えていたら、肺がんではありません。逆により白く、大きくなっていたら、気管支鏡検査で組織をとって詳しく調べることになります。今は心配せずに、4カ月後の検査を待つようにしてください。

肺がんと診断され、手術を1カ月後に控えています。手術前と手術後には、どんな生活をすればいいでしょうか。(79歳女性)
鈴木 手術までは暴飲暴食を避けて下さい。肺炎のリスクが高くなりますので、かぜに注意し、(喫煙者は)禁煙してください。術後はリハビリを頑張っていただければいいと思います。

家族が肺がんと診断され、ラジオ波治療を勧められています。その治療効果を教えてください。(70歳女性)
東家 ラジオ波焼灼術は体の外から肺がんに針を刺して、ラジオ波によって発生する針先の熱でがんを焼く治療です。定位放射線治療と同様に早期がんが適応となり、高齢の場合や合併症、肺機能低下などで手術ができない場合の選択肢になります。焼灼部の制御が得られる可能性(局所制御率)も定位放射線治療と同じくらいで90%程度といわれています。

レントゲンで見ると肺が膨らんでいて、「肺気腫になりやすい」と言われました。副流煙が気になりますが、何に注意をすればいいでしょうか。(68歳女性)
高野 医師の説明は、「肺気腫になりやすい体質なので、たばこの煙に注意してください」ということだろうと思います。もし、ご本人が喫煙されていれば禁煙が必要です。やめづらい場合は禁煙治療があります。3カ月間の治療で、ほとんどの方が禁煙でき、保険も適用されます。また、家族に喫煙者がいれば受動喫煙が影響しますので、屋内の禁煙が基本になります。

肺気腫で通院しています。少しの運動でも息切れしますが、医師は「酸素吸入はまだ早い」と言います。どのような影響があるのですか。(69歳男性)
平田 息切れの原因は、酸素不足だけでなく、足の筋力なども深く関係しています。そして、酸素が足りている人が酸素吸入によって寿命が伸びる、ということは証明されていません。むしろ、酸素のチューブにしばられた生活で活動性が落ちてしまうと、寿命を縮めることもあります。