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『講演D ぜんそくとCOPD(たばこ肺)治療の最前線』
身体活動性の維持が大事
気管支ぜんそくは慢性の病気で、全人口の7〜13%が発症するとされています。せきが出て、呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューという喘(ぜん)鳴(めい)や、胸苦しさがあり、息切れや呼吸困難の発作が起こります。ぜんそくは完全に治りませんが、発作を起こさないよう予防的な治療は可能です。
ぜんそくになると、空気の通り道である気道にアレルギー性の炎症が続きます。そこで、過剰な免疫力を落として炎症を抑える治療を行います。発作には気管支を広げる短時間作動の気管支拡張薬や、気管支の腫れを取り除くステロイドホルモンの内服、注射が有効です。
治療ガイドラインでは、吸入ステロイド薬がぜんそく治療の中心に位置づけられています。この吸入薬は経口ステロイド薬とは全く異なる薬剤で、世界中で30年以上使用され安全性が確立している薬剤です。ただ、正しい使い方をしなければ効果が望めません。たくさんの種類が出ていますので、使いやすさで選ぶと良いでしょう。
中には治療中に発作が出なくなって、薬をやめてしまう人もいますが、症状が出なくても続けて使うことが重要です。炎症がなくなれば薬の量を減らすことができますが、途中でやめると多くはまた発作が起きます。
近年は重症ぜんそくの治療法として、アレルギーの原因が判明している患者さんの6割程度に有効な新薬も出てきました。 また、気管支熱形成術(BT)といって、気管支平滑筋を熱で焼き薄くして、気管の収縮を抑えることで、ぜんそく発作の回数と重症度を減らす治療法もあります。ただ、全ての人に有効ではありませんので、主治医に相談してみてください。
次にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)について話します。これは「たばこ肺」ともいわれ、喫煙と関係の深い病気です。主な症状は、慢性のせきやたん、体を動かしたときの息切れ(呼吸困難)などです。年齢とともに肺機能が健常者より早く低下します。低下の速度は喫煙量と関係しているため、たばこを吸わないようにすることが第一です。
COPDは「今より悪くしない」を目標に、全身状態やQOL(生活の質)を保つために、気管支拡張剤の吸入や呼吸器リハビリ、栄養療法などを組み合わせ治療します。
長生きするために、毎日動ける体を維持していくことが大事であることを忘れないでください。