【司会】 肥後医育振興会常任理事 熊本大学名誉教授 西 勝英 氏 |
【座長】 熊本大学副学長・同大大学院医学薬学研究部免疫学分野教授 阪口 薫雄 氏 |
【講師】 熊本大学大学院医学薬学研究部免疫識別学分野教授 西村 泰治 氏 演題:『からだを守る免疫のしくみ』 |
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【講師】 熊本皮ふ科形成外科院長 中村 猛彦 氏 演題:『アトピー性皮膚炎「どんな病気?治療はどうするの?」』 |
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【講師】 熊本大学エイズ学研究センター病態制御学分野教授 松下 修三 氏 演題:『人類はエイズを克服できるか?』 |
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【講師】 熊本大学大学院医学薬学研究部頭頸部感覚病態学分野講師 鮫島 靖浩 氏 演題:『鼻アレルギー、花粉症とのつきあい方』 |
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【講師】 熊本大学大学院医学薬学研究部呼吸器病態学分野教授 興梠 博次 氏 演題:『喘息と免疫「喘息はどこまで治るのか?」』 |
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第31回肥後医育塾公開セミナー、日本免疫学会・九州地区「免疫ふしぎ未来」企画 市民公開講座「病気と免疫」が4月28日、熊本市水前寺公園の熊本テルサで約450人が参加して開かれた。(財)肥後医育振興会、(財)化学及血清療法研究所、熊本日日新聞社、日本免疫学会広報委員会が主催し、熊本県、熊本市、熊本県医師会、熊本大学、同大大学院医学薬学研究部、同大大学院医学教育部、同大医学部同窓会が後援した。
肥後医育振興会常任理事で熊本大学名誉教授の西勝英氏が司会、同大副学長の阪口薫雄氏が座長を務め、免疫のしくみや、さまざまな病気と免疫のかかわり合い、その治療法などについて、免疫学、アレルギー性疾患や感染症などの専門家5氏が講演した。総合討論では、参加者から関心の高さをうかがわせる質問も相次いだ。
Q 喘息持ちですが、状態が悪いときしか薬を使えません。日ごろから使った方がよいという先生もいますが。
A 季節性の喘息の人と、一年を通して症状がある人で対応は異なります。季節性の場合、症状が現れる時期だけの治療で構いませんが、症状が出始めたら、なるべく早期に薬を使用するように。年中症状が出る人は継続的に使ってください。
Q 毎年4月になると、必ずと言っていいほど、鼻づまりに悩まされます。薬を飲めば症状が和らぎますが、やめると元に戻ります。
A 4月ごろは、ちょうどスギやヒノキ花粉が飛散する終わりごろで、カモガヤの花粉も飛び始める時期です。まずアレルギーによるものか、抗原の検査を行った上で対処してください。特定の時期だけなら、薬を使う方法もありますし、薬を飲むことで眠気やだるさが出る場合、手術的な治療法も一つの選択肢といえます。
Q 喘息治療薬、特にフルタイドなどステロイド剤の薬効と副作用について教えてください。
A フルタイドは、炎症を取り除くステロイド薬です。ステロイド薬は、できれば吸入による使用をお薦めします。声が少しかれたり、口の中にカンジダが生えたりする副作用が出ますが、カンジダはうがいにより解消します。口の中とのどの奥の両方をうがいしてください。
Q 6歳の孫が、顔や全身にアトピーがあります。保湿剤を塗っていますが、かき癖が治りません。
A アトピー治療には、内服薬と、炎症を鎮める外用剤、保湿剤の使用が対処法としてよく出てきます。薬の使い分けに関して、もう一度確認が必要と思います。保湿(皮膚を守る)という手入れだけでは不十分な印象もあるので、かかりつけの医師と相談してみてはどうでしょう。
Q 免疫力を強化する方法はありますか。
A 確固たるものは今のところありません。通常の健康法と同様に、栄養のあるものを適量食べ、適度な運動をして、規則正しい生活をすれば、免疫力は十分に維持できます。
Q エイズウイルスは将来、人類にもっと脅威な存在に変わる可能性はないのですか。
A 1、2年で発症するような恐ろしいウイルスが既に存在するという説もあれば、弱毒化していく可能性もあると唱える人もいます。研究は不十分ですが、もし弱毒のものがあれば、それはワクチン開発に非常に役立つ可能性があります。