肥後医育塾公開セミナー

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平成19年度 第1回公開セミナー「病気と免疫」

【講師】
熊本大学大学院医学薬学研究部呼吸器病態学分野教授
興梠 博次

『『喘息と免疫「喘息はどこまで治るのか?」』』
ステロイド吸入を主体 正しい治療で快適生活


   喘息は、環境因子の刺激に対する過剰な免疫反応によって起こるアレルギー・免疫疾患で、発作的に呼吸が苦しくなり、ゼーゼー、ヒューヒューという音がします。安静時にも発作が出て、夜中や朝方などにきつくなるのが特徴です。年齢にかかわらず発症するため、診断が難しい病気です。原因となる環境因子として、家屋のごみ(ダニ)やカビのほか、犬、猫、ハムスターなどのペットの皮膚分泌物、そばなどの食物が知られています。

 喘息は根治が難しい疾患ですが、国際喘息治療のガイドラインに基づいた、ステロイド吸入を主体とした治療により、健康な人と何ら変わらない生活ができるようになり、また、喘息死の危険率は大幅に低下しました。

 喘息発作の治療は第一段階として、気管支拡張薬(β
 喘息発作が落ち着いたら、次に発作の予防治療をします。喘息の治療は、ステロイド吸入を定期的に、正確に使用することを基本とします。ステロイドの吸入剤はエアロゾール(噴霧式)と粉末のものが主流です。薬が全身に行きわたる内服薬に比べ、吸入剤は局所に有効で、うがいをすれば副作用はほとんどありません。さらに、ロイコトリエン拮抗(きっこう)薬の内服や長時間に作用するβ2刺激薬の吸入、テオフィリン製剤などを組み合わせて使い、発作を誘発させないことが重要です。ステロイドの内服剤の使用はできるだけ控え、なるべく吸入剤を使ってください。もし発作が起きたときは、短時間作用型のβ2刺激薬を吸入し、それでも症状が治まらない場合は受診してください。これらの対処法を身に付ければ、九割以上の人は自分で喘息の管理ができるようになります。

 吸入剤は、使い方がやや難しいため、医師や薬剤師などの指導を受け、正しく使用することが治療の近道です。

 生活環境の整備も重要です。喘息の原因となる家のダニを排除するため、カーペットやソファに掃除機をきちんとかけることが大切です。布団は一度干した後、片面約二分ずつ掃除機をかけてください。これを徹底すると、子どもの喘息には特に良いといわれます。

 喘息は、正しい治療を行えば、健康な人とほとんど変わらないほどに体調をコントロールでき、快適な生活を送ることが可能です。根気強く治療に取り組んでください。