肥後医育塾公開セミナー

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平成13年度 第1回公開セミナー「子どもの心のケア」

司会・講師


(財)肥後医育振興会理事長
徳臣 晴比古

演題:主催者あいさつ 子どもたちにゆとりを

    (財)肥後医育振興会理事長
    徳臣 晴比古

    演題:主催者あいさつ 子どもたちにゆとりを
【講師】
鳥取大学教育地域科学部教授
小枝達也
こえだ・たつや 
昭和59年鳥取大学医学部卒。平成2年同附属脳幹性疾患研究施設助手。7年同附属病院講師。8年同附属脳幹性疾患研究施設助教授。11年から現職
演題:「自己肯定感」を育てるのが大切 
    【講師】
    鳥取大学教育地域科学部教授
    小枝達也
    こえだ・たつや 
    昭和59年鳥取大学医学部卒。平成2年同附属脳幹性疾患研究施設助手。7年同附属病院講師。8年同附属脳幹性疾患研究施設助教授。11年から現職
    演題:「自己肯定感」を育てるのが大切 
【講師】
国立菊池病院院長
弟子丸 元紀
でしまる・もとのり 
昭和39年熊本大学医学部卒。44年同精神科助手。52年国立菊池病院重症心身障害児病棟勤務。平成9年熊本大学医学部精神科臨床教授を兼任。11年から現職
演題:不登校は心身疲労のサイン
    【講師】
    国立菊池病院院長
    弟子丸 元紀
    でしまる・もとのり 
    昭和39年熊本大学医学部卒。44年同精神科助手。52年国立菊池病院重症心身障害児病棟勤務。平成9年熊本大学医学部精神科臨床教授を兼任。11年から現職
    演題:不登校は心身疲労のサイン
【司会】
臨床心理士・スクールカウンセラー
浦野エイミ
うらの・えいみ 
昭和48年熊本大学教育学部卒。平成7年同大学院教育学研究科修了。現在は県教育委員会スクールカウンセラー、国立菊池病院臨床研究部研究員などを兼任
演題:互いに認め合う親子関係で
    【司会】
    臨床心理士・スクールカウンセラー
    浦野エイミ
    うらの・えいみ 
    昭和48年熊本大学教育学部卒。平成7年同大学院教育学研究科修了。現在は県教育委員会スクールカウンセラー、国立菊池病院臨床研究部研究員などを兼任
    演題:互いに認め合う親子関係で
【コーディネーター】
熊本大学医学部発達小児科教授
三池 輝久
みいけ・てるひさ 
昭和43年熊本大学医学部卒。52年米国ウエストバージニア州立大学神経病理に留学。59年から現職。専門は神経および筋肉疾患、精神運動発育障害など
演題:疲れいやす時間十分に
    【コーディネーター】
    熊本大学医学部発達小児科教授
    三池 輝久
    みいけ・てるひさ 
    昭和43年熊本大学医学部卒。52年米国ウエストバージニア州立大学神経病理に留学。59年から現職。専門は神経および筋肉疾患、精神運動発育障害など
    演題:疲れいやす時間十分に

セミナーの内容

  第十三回肥後医育塾公開セミナー「子どもの心のケア」が六月三十日、熊本市水前寺公園の熊本テルサで開かれた。(財)肥後医育振興会・(財)化学及血清療法研究所・熊本日日新聞社主催、熊本大学医学部・熊本県・熊本市・熊本県医師会・(財)熊本テルサ後援。

 鳥取大学教育地域科学部の小枝達也教授が「行動上のトラブルに対する理解とケア」、国立菊池病院の弟子丸元紀院長が「子どもはじっと耐えている〜ストレスでの心身の反応」、臨床心理士でスクールカウンセラーの浦野エイミさんが「子どもの心、見えていますか」と題してそれぞれ講演。続いて、熊本大学医学部発達小児科の三池輝久教授が不登校の子どもに対する最新の医学的見地について解説。三池氏をコーディネーターに、小枝、弟子丸、浦野の各氏が加わって、不登校や問題行動の多い子どもへの対応などについてパネルディスカッションを行った。

 当日は約六百人が参加。不登校や問題行動を引き起こす子どもたちへの関心の高さを反映して、参加者はそれぞれ真剣な面持ちで聞き入り、メモを取る姿なども見られた。

パネルディスカッション

パネルディスカッション

三池
治療対象になる子どもの問題行動の規準と、具体的な対処法を教えてください。

小枝 
どこから異常とするかという基準はありません。私は、その行動が子どもにどの程度不利益をもたらしているかを目安にしています。例えばキレるという行動には、かなり防衛反応的なところがあります。思春期になると、病的な素因かどうか分からないレベルであっても、問題行動が定着してしまうと、キレる、たたく、多動性―といった問題行動を抑制する"防波堤"が低くなってしまいます。その場合はキレないために"防波堤"を高くするような介入の仕方が必要です。薬物療法や、その行動を禁止することもあります。しかし、最も大切なのは、その子と話をしながら、"防波堤"をどう築いていくかです。

三池 
"キレる子どもたち"に対する親のかかわり方も難しいですね。

浦野 
行動の裏には、その子の思いが必ずあります。だれにも分かってもらえないと思ったときに激しい行動が出てくるようです。日ごろから、気持ちを正直に話せる雰囲気を家庭につくることが大切です。また、キレた後は、興奮状態でいろいろ言うのではなく、落ち着いてから、もう一度、どうしてあんな行動をとったのか、親子で考える機会を持つことが必要です。

三池 
不登校や引きこもりが、問題になっていますが…。

弟子丸 
基本的には不登校は現象であり病気ではありません。しかし、一部の子は自律神経失調症や不安状態、うつ状態を示し、治療が必要になります。子ども一人ひとりで表現の状態が異なり、対応も異なってきます。ただ、不登校状態からの回復にはステップがあります。例えば不登校の回復のなかに、引きこもりという一つの時期があります。これは怠けているわけでは決してなく、その子にとって必要な自閉の時期なのです。依存・退行の状態で周囲とかかわりを求めますが、必ず次のステップを踏み出す時期が来ます。お母さん方も一人で抱え込まず、専門家に相談することが大事です。