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肥後医育塾公開セミナー

令和2年度 第3回公開セミナー「知っておきたい次世代がん治療」

司会・講師


肥後医育振興会 理事長
西 勝英

【司会】
肥後医育振興会 常任理事
片渕 秀隆

【座長】
熊本大学病院 病理診断科 教授
三上 芳喜

演題:座長あいさつ
【講師】
熊本大学大学院生命科学研究部 臨床病態解析学講座 教授
松井 啓隆

演題:【講演@】遺伝子とがん:がん細胞の遺伝子検査でなにがわかるか・なにができるか
【講師】
熊本大学病院 病理診断科 特任助教
川上 史

演題:【講演A】がんゲノム医療と新時代の病理診断
【講師】
熊本赤十字病院 血液・腫瘍内科 副部長
山本 春風

演題:【講演B】がんゲノム医療を受けるには?〜がんになった時に知っておくべき基礎知識〜

セミナーの内容

 第72回肥後医育塾公開セミナー「知っておきたい次世代がん治療」が2月7日、熊本市中央区の市医師会館で開かれた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため無聴衆で行われ、講演内容は熊日YouTubeチャンネルできょうから動画配信される。主催は公益財団法人肥後医育振興会、一般財団法人化学及血清療法研究所、熊本日日新聞社。
 熊本大学病院病理診断科教授の三上芳喜氏が座長を務め進行。県内の医師や研究者3人が、がんゲノム(全遺伝情報)医療の最前線などについて解説した。熊日読者から事前に募集した質問に答えるコーナーも設けられた。

※座長として登壇する予定だった本原剛志氏(熊本大学病院産科・婦人科講師)は都合により欠席となりました

熊日読者から事前に寄せられた質問に答えるパネリスト=熊本市中央区の市医師会館
講演動画を熊日YouTubeチャンネルで公開 2月7日に収録した講演の模様を熊本日日新聞社のYouTubeチャンネルで公開中です。QRコードを読み取ると、各コンテンツの動画を見ることができます。

質疑応答

Q がんゲノム医療を受けられる人はどのような状態のがん患者ですか。
A がん患者さん全てががんゲノム医療を受けられるわけではありません。受診できるのは、標準治療に指定された抗がん剤では十分な結果が得られなかった場合や、最初にどの部位にがんができたのか分からない原発不明がん、希少がんなど標準治療がないがんの場合です。(山本)

Q がんにならないよう健康診断を毎年受診していますが、最新の予防医学の情報があれば知りたいです。
A 主治医から提案することは多くありません。それは、がんゲノム医療で使用する薬が国の承認を得る前の臨床試験段階にあるケースがほとんどであり、多くの方が新たな薬の提供につながらないためです。そのため、がんゲノム医療に関心がある場合、まず患者さんから主治医に申し出ていただき相談されることから始めるのがよいと思います。(山本)

Q 治験に参加する形でのがん治療について教えてください。
A がんは早期に発見し治療につなげることが大事になりますので、ぜひ今後も健康診断を受けてください。(松井)
 高額な費用を払えば、自分がどんながんになりやすいのか、遺伝子検査を行ってくれる民間機関があります。しかし現段階では、その結果が確実なものだと証明されていません。今後の研究によってさらに精度の高い検査が確立され、がんを予見できる時期が来ると思いますので、それまで検査依頼は待った方がよいでしょう。(山本)
 がんはその要因の9割が、遺伝とは別の要因が複雑に組み合わさって起こると考えられています。そのため、血液や唾液を使った遺伝子検査の結果だけを手掛かりに将来のがん発症を予見することは、まだ難しいです。(松井)
 がんゲノム医療はまだ個人の将来のがんを予防できる段階ではないと思いますが、多くのデータを蓄積していくことは将来の予防医学の発展につながると考えられます。自身の健康に関心を持つことが、医学の発展につながる、という意識を持っていただければと思います。(川上)

Q がんゲノム医療はがんの予防にも使えるものですか。
A 治験への参加は大きく2つに分けられます。一つは、がんゲノム検査を基にした治験への参加。もう一つが、それとは無関係ながん治験への参加です。本日の講演で紹介したのは前者で、がんゲノム検査後の専門家による判定会議を経て推奨される薬があれば治験に登録できるというものでした。遺伝子と無関係ながん治験への参加は、がんの標準治療が行われていく過程で、主治医が治験も含めて治療を考えた方がよいと思われた場合に、主治医の判断で治験への参加の可能性があるというものです。(松井)

Q 県内ではどこの医療機関でがんゲノム医療を受けることができますか。
A 現状、熊本大学病院のみとなっています。ただ、患者さん全てが必ずがんゲノム医療を受けられるわけではなく、一定の条件があります。また、現在がん治療を担当されている病院からの紹介が必要になりますので、まずはご自分の主治医とよく相談してください。(松井)