肥後医育振興会理事長 熊本大学名誉教授 医療法人八代桜十字 丸田病院 院長 西 勝英氏 氏 |
【司会】 肥後医育振興会理事 熊本大学名誉教授 くまもと江津湖療育医療センター 総院長 遠藤 文夫 氏 |
【座長】 熊本大学大学院生命科学研究部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座教授 折田 頼尚 氏 演題:座長あいさつ |
講演内容を見る |
【座長】 熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器内科学講座 教授 坂上 拓郎 氏 演題:座長あいさつ |
講演内容を見る |
【講師】 熊本大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科 講師 宮丸 悟 氏 演題:【講演@】花粉症治療の最前線 |
講演内容を見る |
【講師】 国立病院機構熊本再春医療センター呼吸器内科 医長 中村 和芳 氏 演題:【講演A】ぜんそく診療における吸入療法の重要性 |
講演内容を見る |
【講師】 熊本地域医療センター呼吸器・アレルギー内科 医長 津村 真介 氏 演題:【講演B】ぜんそくの最新治療〜重症難治例での選択肢〜 |
講演内容を見る |
第69回肥後医育塾公開セミナー「克服したい! 花粉症とぜんそくの最新治療」が2月23日、熊本市中央区のホテル熊本テルサであり、約100人が聴講した。公益財団法人肥後医育振興会、熊本日日新聞社が主催。
開会の冒頭、肥後医育振興会の西勝英理事長が、感染拡大が心配される新型コロナウイルス感染症の予防法について紹介した。
セミナーは、熊本大学大学院生命科学研究部の折田頼尚教授と坂上拓郎教授の2人が座長を務め進行。耳鼻咽喉科・頭頸部外科、呼吸器内科、アレルギー内科の専門医3人による講演の後、質疑応答の時間も設けられた。
花粉症軽減に発酵食品が有効
ぜんそくは長く付き合う病気
Q 花粉症の症状は春にだけ出るものと思っていましたが、秋や冬も現れます。何が原因ですか。
A 冬から春にかけてはスギやヒノキが多く、秋はブタクサやカモガヤの花粉が飛ぶので、そうした花粉に対してアレルギーがあるのかもしれません。血液検査でアレルギーの原因物質を調べることもできますので、それを参考にされてはいかがでしょう。(宮丸)
Q 花粉症ですが、薬にあまり頼りたくありません。食事など他に有効な方法はありますか。
A 食事では、ヨーグルトや納豆、漬物などの発酵食品が症状の軽減に有効と報告されています。また、環境省花粉予測システム「はなこさん」などのウェブサイトを活用して、花粉飛散の多い時間帯を把握するのも抗原回避に有効です。(宮丸)
Q ぜんそくの発作の応急処置として、どのようなものがありますか。
A まずは処方されている即効性のある短時間作用性の気管支拡張剤を吸入します。横になることができないほど苦しい場合は、全身性のステロイド剤を投与する必要がありますので、かかりつけ医や救急外来を受診してください。(中村)
Q ぜんそくと診断され、吸入ステロイド薬を使用していますが、症状が完全には良くなりません。せきがあり、喉がヒューヒューゼイゼイする症状が出ます。ぜんそくは症状が長く続くものと考えなければならないでしょうか。
A まずは吸入薬を正確に吸入できているのか、確認が必要です。主治医に吸入手技を診てもらい、自分でもチェックしてください。その上で症状が改善しなければ、ダニやペットのいる生活環境の見直しや禁煙など、アレルギー原因物質を避けることに努めてください。鼻炎や副鼻腔炎、胃食道逆流症などの症状があるとぜんそくが悪化するため、合併症がないかの確認も必要です。それらを総合的に判断してぜんそく治療を強化すべきか、合併症の治療をするのかという判断になると思います。(中村)
どうしても症状が改善しない場合は、かかりつけ医に、検査ができる呼吸器内科の病院を紹介してもらってください。(坂上)
Q ぜんそくに一度なったら治りませんか。
A 小児ぜんそくは成人するまでに7〜8割が治癒するといわれますが、一般的に、成人のぜんそくは治らないものとして吸入ステロイド薬を中心とした治療を行います。諦めずに続ければ、段階的に薬の用量を減らすことができます。(中村)
ぜんそくは、原因がまだ完全に解明されていない病気です。長く付き合っていく病気だと考えてください。(坂上)
Q 重症ぜんそくは、ステロイドホルモンの筋肉注射が必要と聞きましたが、副作用が心配です。
A 現在はステロイド全身投与以外の治療法が出てきており、ステロイドホルモンの筋肉注射は、国際的な治療ガイドラインでも推奨されていません。寝たきりで吸入すらできない場合の最終手段と考えています。(津村)
Q 新しいアレルゲン(アレルギー原因物質)の情報はありますか。
A 新たな情報はありません。ただ、皮膚に付けるものでもアレルギーを起こす場合があることを知っておいてください。また、アレルゲンが陽性なのかどうかは血液検査で判定できますが、陽性とは、体がアレルゲンを認識している証拠であり、必ずしも体に悪さをしているということではありません。アレルゲンの不必要な除去をすると、生活に大きな制限がかかるので、血液検査だけで判断しないよう気を付けてください。(津村)