肥後医育塾公開セミナー

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平成15年度 第1回公開セミナー「スポーツ医学から見た正しいトレーニング」

司会・講師

【講師】
熊本大学教育学部教授
小郷 克敏

演題:「発育に合わせた練習必要」
    【講師】
    熊本大学教育学部教授
    小郷 克敏

    演題:「発育に合わせた練習必要」
【講師】
サッカー日本代表チームドクター
白石 稔

演題:「勝利に欠かせぬ医療支援」
    【講師】
    サッカー日本代表チームドクター
    白石 稔

    演題:「勝利に欠かせぬ医療支援」
【講師】
鹿屋体育大学体育学部教授・ミュンヘンオリンピック金メダリスト
田口 信教

演題:「個人の特性見極めが大事」
    【講師】
    鹿屋体育大学体育学部教授・ミュンヘンオリンピック金メダリスト
    田口 信教

    演題:「個人の特性見極めが大事」
【体験発表】
熊本大学大学院医学薬学研究部院生
中川 洋一

演題:「得るものが多いスポーツ」
    【体験発表】
    熊本大学大学院医学薬学研究部院生
    中川 洋一

    演題:「得るものが多いスポーツ」

セミナーの内容

  肥後医育塾の第19回公開セミナー「スポーツ医学から見た正しいトレーニング」が7月20日、熊本市の熊本テルサで約4百人が参加して開かれた。(財)肥後医育振興会・(財)化学及血清療法研究所・熊本日日新聞社主催、熊本大学医学部・県・熊本市・県医師会・(財)熊本テルサ後援。
 第1部は熊本大学教育学部教授の小郷克敏氏が「小中学生のクラブ活動でスポーツ障害を起こさないために」、サッカー日本代表チームドクターの白石稔氏が「プロ・セミプロ選手の健康管理〜サッカー選手の場合」と題して、それぞれ講演した。
 第2部ではミュンヘンオリンピックの水泳競技で金メダルを獲得した鹿屋体育大学教授の田口信教氏が「トップアスリートの健康管理」について話した後、熊本大学大学院医学薬学研究部院生の中川洋一氏が「スポーツ障害を乗り越えて」と題して体験発表を行った。「総合討論」では、講師陣が会場からの質問にも答えた。
 今回の公開セミナーは、肥後医育振興会理事の西勝英氏が司会、熊本大学大学院医学薬学研究部の高木克公教授が総合司会を務めた。田口氏の講演では熊本大学医療技術短期大学部の伊藤雅浩講師が司会を務めた。

「スポーツ医学から見た正しいトレーニング」をテーマに開かれた第19回肥後医育塾公開セミナー
豊富な資料を使い分かりやすい説明があった

総合討論

Q 子どもが陸上競技をしていますが、かかとの成長痛で悩んでいます。対処法はありますか。
白石 トレーニングの負荷の量がポイントです。成長速度には個人差があり年齢どおりではありませんが、その成長段階に応じた練習量と質を保つ必要があります。度を超すと、かかとの痛みだけではなく、ほかの部分が悪くなるなどの悪影響も出てきます。
田口 成長痛は小学生の低学年に多い症状です。そのときの練習には水泳をお勧めします。
 小郷 陸上競技は地面からのショックがあります。ほかのトレーニングをするとよいでしょう。

Q 全身運動として適したスポーツには何があるでしょうか。
小郷 ほとんどのスポーツは全身を使うと思いますが、使う部位を特定するようなスポーツでなければ、数種類のスポーツをやることで、ほぼ全身をカバーできると思います。

Q 中高生から始めてもトップになれますか。また低学年から始めてトップになった人と違いがありますか。
田口 私は中学二年生から水泳を始めました。小学生のころはいろんなスポーツを経験することをお勧めします。いろんな刺激を与えてやることが大切だと思います。
高木 ブラジルでは低学年からサッカーに親しんでいるようですが、その点はどうでしょうか。
白石 競技として教えられるのではなく、低学年から遊び感覚で自由にサッカーに親しめば全身的な運動能力の伸びが早いでしょう。例えば砂場などでボールをけることによって、サッカーの技術だけではなく調整力などのいろんな能力が身につくようです。

Q 子どもがO脚でサッカーをしています。大丈夫ですか。
白石 心配いりません。O脚のサッカー選手はたくさんいます。講演でも述べましたようにできるだけ早い時期から自分の体の特徴を理解し、もし身体的弱点があれば、その部分のセルフケアのレベルを上げることで将来的にも十分高いレベルでプレーできると思います。大事なのは、単に厳しい練習を数多くこなすのではなく、日常のストレッチや練習後のアイシング、疲労を早く除去するための有酸素運動などの体の手入れを十分に行うことです。

Q 子どもの時は筋力強化はやらない方がいいのでしょうか。またサプリメントは飲んでいいでしょうか。
小郷 強い筋力トレーニングをしなければいいと思います。体のバランスを見て、弱い部分を強化するようなトレーニングはいいでしょう。サプリメントはあくまでも食事の補助的な目的で使ってください。

Q 「超回復」についてですが、超回復を起こす時間はどうすれば分かりますか。また疲労度は外見上どこで見ればいいでしょうか。
小郷 週に四回の練習でもトレーニング効果はあると思います。その場合二日とか三日続けて休むのではなく、適度に間隔をあけて休養すればいいと思います。
田口 疲労度を見るには寝た時間などを目安にしたらいかがでしょうか。小学生だと、最低九時間は睡眠時間が必要でしょう。

Q 練習の後のマッサージは子どもには有効でしょうか。
白石 効果はありますが、普通は子どもには必要ありません。リカバリーのためのゆっくりしたジョギングや入念なストレッチ、血行改善のための入浴などで十分ですし、まずそうした自己管理をできるようになることが大事です。