【講師】 近畿大学医学部第四内科教授 福岡 正博 氏 演題:「肺がんの診断と治療?現状と展望?」 |
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【座長】 熊本大学医学部第一内科教授 安藤 正幸 氏 演題:増加傾向なお20?30年も |
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【講師】 日赤熊本健康管理センター診療部・健康増進部副部長 大森 久光 氏 演題:「肺がんを予防するために?あなたもたばこをやめられる?」 |
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【講師】 熊本大学医学部第一内科助教授 菅 守隆 氏 演題:「肺がんを早く見つけるために?もしものための検診のススメ?」 |
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肥後医育塾の平成十二年度第三回公開セミナー「肺がん診療の最前線」が三月十日、熊本市の熊本テルサで四百人が参加して開かれた。(財)肥後医育振興会・(財)化学及血清療法研究所・熊本日日新聞社主催、熊本大学医学部・県・熊本市・県医師会・(財)熊本テルサ後援。
セミナーは熊本大学医学部第一内科の安藤正幸教授を座長に、日赤熊本健康管理センター診療部・健康増進部副部長の大森久光氏が「肺がんを予防するために〜あなたもたばこをやめられる〜」、熊本大学医学部第一内科助教授の菅守隆氏が「肺がんを早く見つけるために〜もしものための検診のススメ〜」と題して予防と早期発見の必要性を訴えた。近畿大学医学部第四内科教授の福岡正博氏は「肺がんの診断と治療〜現況と展望〜」をテーマに肺がん診療の最前線を紹介した。
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※安藤正幸氏は、2001年3月31日をもって熊本大学を退官されました。肩書は2001年3月当時のものです。
講演の後、肺がんに関する質疑応答が行われた。そのいくつかを紹介する。
■肺がんになりやすい体質を簡単に見つける方法はありますか。また、がんは遺伝するでしょうか。
福岡 肺がんになりやすい体質というのは現在分かっていません。肺がんが遺伝するかどうかについては、今のところ全く根拠はありません。ただ家族は食べ物も同じで喫煙する人がいればその環境も同じであるため、同じ家にしばしば出やすいということはあろうかと思います。
■たばこを約40年間1日2〜3箱吸い、現在はやめて10年になります。肺がんになる率はどれくらいですか。
大森 今日やめたからといって、肺がんのリスクが一気に全然吸わない人と同レベルに下がるのではありません。しかし10年たてば、一般的には30〜50%くらいはリスクが下がるといわれています。
■肺がんの典型的な前兆はありますか。
菅 基本的には肺がん特有の症状はなく、風邪と同じような症状です。すなわちせきとたん、血たん、進行すると呼吸困難、胸膜にがんが進むと胸痛が起きます。そのほかがんが出す物質によってホルモン異常なども起こります。
■外国にはがんに効く薬がたくさんあると聞きました。しかし日本ではその薬を患者に投与できないそうですが。
福岡 結論を言えば、現在は厚生労働省もそういうものを早く審査しようという方向です。肺がんに関しては現在、外国で使えて日本で使えないという薬はありません。
■免疫療法について教えてください。
福岡 20年前に盛んに免疫療法が検討されましたが、その有効性が証明されたものは現在のところありません。
■子宮がんや卵巣がんからの転移性肺がんの治療法は。
福岡 一般的には転移性肺がんでも、一カ所に転移がある場合は外科的切除、複数ある場合は化学療法になります。
■肺がんの5年生存率を教えてください。
福岡 肺がん全体の5年生存率は13%程度であまりよくありません。しかしT期だと70%くらいあるので、やはり早期に見つけることが大事だと思います。