【コーディネーター】 肥後医育振興会常任理事 熊本大学名誉教授 西 勝英 氏 |
【座長】 熊本大学大学院医学薬学研究部代謝内科学分野教授 荒木 栄一 氏 |
熊本大学保健センター センター長 岸川 秀樹 氏 |
【講師】 熊本大学大学院医学薬学研究部 代謝内科学分野教授 荒木 栄一 氏 演題:「糖尿病はなぜおきる?」 |
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【講師】 熊本大学大学院医学薬学研究部循環器病態学分野教授 小川 久雄 氏 演題:「糖尿病と循環器疾患」 |
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【講師】 熊本大学大学院医学薬学研究部視機能病態学分野教授 谷原 秀信 氏 演題:「糖尿病による眼の病気」 |
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第26回肥後医育塾公開セミナー・第43回日本糖尿病学会九州地方会市民公開講座「糖尿病にならないために、合併症が起きないために」が10月15日、熊本市の鶴屋ホールで開かれた。熊本大学大学院医学薬学研究部代謝内科学分野の荒木栄一教授が「糖尿病はなぜおきる?」と題して話した後、同大学同研究部視機能病態学分野の谷原秀信教授が「糖尿病による眼の病気」、同大学同研究部循環器病態学分野の小川久雄教授が「糖尿病と循環器疾患」をテーマにそれぞれ糖尿病の合併症について講演した。コーディネーターは肥後医育振興会常任理事で熊本大学名誉教授の西勝英氏。座長は熊本大学保健センターの岸川秀樹センター長と荒木栄一教授。
Q 糖尿病は予防も必要と強調されましたが、生活習慣の改善と薬物療法について説明してください。
A 診断がつかないと糖尿病の薬は使えませんが、外国では糖の吸収を抑える薬で糖尿病の発症が抑えられたという報告があります。血圧やコレステロールを下げる薬で糖尿病予防にも効果があるものもあります。食事への配慮や運動不足の解消に努めることは、糖尿病の予防や症状の改善に非常に有効。血糖値を上げない食べ物を選んで食べるようにするとさらに効果的です。
Q 糖尿病網膜症の治療で、留意する点は。
A 糖尿病になったら、眼科的な自覚症状の有無にかかわらず、定期的に眼科医専門医に診察してもらうことは、早期発見のために重要です。特に、できるだけ地元にかかりつけの眼科医を持つことは大事だと思っています。
Q 眼科の定期検診の期間はどれくらいでしょうか。
A 糖尿病網膜症を発症していない人は半年に一回、糖尿病網膜症の人は二、三カ月に一回程度でしょう。糖尿病網膜症が進み増殖組織や眼底出血が出てきた場合は月に一回は経過を確認するようにしてください。
Q 医師の立場から今後の糖尿病の治療に望むことは。
A 糖尿病患者の増加と治療を受けていない患者の存在が気になります。まず大切なのは糖尿病を起こさないことですが、糖尿病と分かったらすぐに病院に行ってください。症状に合った投薬治療を行いながら、食事、運動に気を配り定期的に病院で経過を確認することが大切です。
Q 肥満は糖尿病になるリスクが高いといいますが、糖尿病を発症すれば体重が減少するといいます。肥満から体重の減少にいたるメカニズムを教えてください。
A 血液中にはブドウ糖が多く含まれています。しかしインスリンがうまく働かないとブドウ糖を筋肉や脂肪など大切なところに取り込むことができません。そうするとエネルギーが細胞としては不足するわけです。それを解消するために筋肉や脂肪が分解されてエネルギーとなって使われ、血糖値が高いにもかかわらず体重がどんどん減ってくるのです。体重が減るということは、初期からさらに病状が進んだ状態になっているということです。