肥後医育塾公開セミナー

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平成15年度 第2回公開セミナー「加齢にともなう膝の痛み」

司会・講師

【座長】
熊本大学大学院医学薬学研究部教授
高木 克公

    【座長】
    熊本大学大学院医学薬学研究部教授
    高木 克公

【司会】
肥後医育振興会常任理事 熊本大学名誉教授
西 勝英

    【司会】
    肥後医育振興会常任理事 熊本大学名誉教授
    西 勝英

【講師】
熊本中央病院整形外科医長
阿部 靖之

演題:「中高年の膝の痛み?変形形膝関節症とは?」
    【講師】
    熊本中央病院整形外科医長
    阿部 靖之

    演題:「中高年の膝の痛み?変形形膝関節症とは?」
【講師】
熊本大学大学院医学薬学研究部運動骨格病態分野助教授
水田 博志

演題:「膝の手術?現代そして未来?」
    【講師】
    熊本大学大学院医学薬学研究部運動骨格病態分野助教授
    水田 博志

    演題:「膝の手術?現代そして未来?」
【講師】
順天堂大学医学部整形外科教授
黒澤 尚

演題:「自分で治す運動療法」
    【講師】
    順天堂大学医学部整形外科教授
    黒澤 尚

    演題:「自分で治す運動療法」

セミナーの内容

  肥後医育塾の第20回公開セミナー「加齢にともなう膝の痛み」が11月22日、熊本市の熊本テルサで開かれた。司会は肥後医育振興会常任理事・熊本大学名誉教授の西勝英氏、座長は熊本大学大学院医学薬学研究部の高木克公教授。
 熊本中央病院整形外科の阿部靖之医長が「中高年の膝の痛み〜変形性膝関節症とは〜」と題して分かりやすく説明した後、順天堂大学医学部整形外科の黒澤尚教授が「自分で治す運動療法」として家庭でできる治療法を紹介。熊本大学大学院医学薬学研究部運動骨格病態学分野の水田博志・助教授は「膝の手術〜現在そして未来〜」をテーマに3つの手術法を詳しく説明した。会場参加者との質疑応答もあった。主催/(財)肥後医育振興会・(財)化学及血清療法研究所・熊本日日新聞

満員となった医育塾公開セミナーの会場。参加者の関心の高さがうかがえた

会場から(質疑応答)

Q 軟骨への注射やヒアルロン酸の投与は何回行っても問題はありませんか。
黒澤 ヒアルロン酸は最初、軟骨保護剤という名目で発売されました。炎症を軽快させることによって、痛み止めの効果があります。注射を何度も繰り返すと、感染の危険が高まるリスクはあります。

Q 「さめの軟骨」や「コンドロイチン」など、関節に効くといわれる健康食品は効果があるのでしょうか。
黒澤 「グルコサミン」が最も多く出回っているようですが、一般的に初期の段階では効くといえると思います。しかし、健康食品は薬とは違います。薬は厚生労働省の厳重な評価を受けて初めて世の中で出てきますが、健康食品にはそれは必要ありません。使うかどうかは自己責任です。慎重に考えてください。

Q 痛みをとる消炎鎮痛剤を長年服用することによって、アメリカでは副作用が出て、年間七千人の死亡者が出ていると聞きます。心配なのですが。
黒澤 あらゆる薬には副作用があります。ですから、必要最小限に使うことです。毎日薬が必要な状態が長く続くのであれば、手術することも検討されてみてはいかがでしょう。私が患者さんに勧めている、運動療法に重点を置いた治療法では、薬物の投与は一週間に一錠程度です。その場合、副作用はほとんど出ません。

Q 平成六年にけい骨骨切り術を受けましたが、いまだに膝の痛みがとれません。人工関節置換術を受けた方がいいでしょうか。
水田 けい骨骨切り術の場合は、当初予定した角度に矯正できた場合は関節の内側の痛みが取れますが、何%か痛みが残る人もいます。しかし、軟骨の問題ばかりではなく、筋力の回復がよくないなど他の原因も考えられます。専門の医師に相談され、きちんと診断を受けてください。

Q 歩くときは問題ないのですが、おけいこ事などで正座をして立ち上がると膝が痛みます。正座はいけませんか。
黒澤 変形性膝関節症は一九七〇年代から日本で非常に増えてきた疾患です。しかし、一九六〇年代まではちゃぶ台で食事をし、畳の生活で正座が多かった時代です。このことから分かるように、変形性膝関節症と正座との関連はないと思われます。

Q 狭心症で十一、十二キロやせました。以前太っていたころに比べると膝の負担は随分軽くなったはずですが、膝の痛みは変わりません。どうしてでしょうか。
水田 肥満は変形性膝関節症の原因の一つですが、単にやせただけでは膝の痛みはとれません。やせて筋肉も細く弱まってしまったら状況は改善されないからです。ダイエットする場合は、筋肉を減らさないよう心掛けてください。