肥後医育塾公開セミナー

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平成16年度 第1回公開セミナー「皮膚がんの最前線」

司会・講師

【座長】
信州大学医学部皮膚科教授
斎田 俊明

    【座長】
    信州大学医学部皮膚科教授
    斎田 俊明

【司会】
肥後医育振興会常任理事 熊本大学名誉教授
西 勝英

    【司会】
    肥後医育振興会常任理事 熊本大学名誉教授
    西 勝英

【講師】
虎の門病院皮膚科部長
大原 國章

演題:治らぬケガや湿疹注意
    【講師】
    虎の門病院皮膚科部長
    大原 國章

    演題:治らぬケガや湿疹注意
【講師】
熊本大学大学院助教授(皮膚機能病態学)
影下 登志朗

演題:「ほくろのがん」
    【講師】
    熊本大学大学院助教授(皮膚機能病態学)
    影下 登志朗

    演題:「ほくろのがん」

セミナーの内容

 第20回日本皮膚悪性腫瘍学会の熊本開催を記念した、第22回肥後医育塾公開セミナー「皮膚がんの最前線」が5月15日、熊本市の鶴屋百貨店ホールで開かれた。(財)肥後医育振興会・(財)化学及血清療法研究所・熊本日日新聞社主催、熊本大学医学部・県・熊本市・県医師会後援。

 約400人が参加。日本皮膚悪性腫瘍学会理事長の斎田俊明・信州大学医学部皮膚科教授が「日本社会の高齢化が進む中で、お年寄りに発生頻度が高い皮膚がんが急速に増加しています。しかし、皮膚のがんは目で確認することができるため、正しい知識を身に付ければ、早い段階で見つけることが可能。早期に発見すれば、どんなに怖いがんでも簡単な手術でほぼ完治します」などとあいさつ。虎の門病院(東京)の大原國章皮膚科部長が「ひふのがん」、熊本大学大学院(皮膚機能病態学)の影下登志郎助教授が「ほくろのがん」と題してそれぞれ講演した。続いて、会場からの質問に答えるかたちで、大原、影下の両氏による総合討論も行われた。司会は肥後医育振興会常任理事の西勝英・熊本大学名誉教授が務めた。

400人者来場者で埋まった会場。皮膚がんの最新情報を得ようと熱心に聞き入っていた。
講演後、大原、影下氏による総合討論も行なわれた
セミナーでは代表的な皮膚がんの症状や治療法が分りやすく紹介された

総合討論

Q 「前がん状態」「前がん症状」とは、どのような状態なのでしょうか。
大原 この言葉は、二つの意味・使われ方があります。一つは、早期がんのことを指す場合です。早期がんは名前の通りに、がんとしてはまだ初期の段階で、表皮内にがんがとどまった状態のことです。もう一つの使われ方としては、今現在はがんではないけれど、いずれはがんになる可能性のある状態を指します。やけどの傷跡や慢性の炎症・傷などがただれて長期化している場合には、長い年月をかけて将来的にがんになる危険性があります。このような状態に対して「前がん症状」という言葉を使うことがあります。

Q 八年前に頭に悪性腫瘍ができて、手術を受けています。二カ月ほど前から顔にそばかすのようなものができていますが、転移の可能性はありますか。
影下 悪性腫瘍の種類によっても転移する確率は違うので一概にはいえません。紫外線を浴びて急にシミやソバカスができることもありますし、手術後八年も経過していますので、がんが転移したという可能性は低いと思われます。心配なときには、ぜひ専門医を受診してください。

Q 病院で老人性いぼを「焼き切りましょう」といわれました。焼き切るとはどういう治療法でしょうか。
大原 「焼き切る」という表現は患者さんに分かりやすく伝えるために使う言葉の一つで、実際に火を使うわけではありません。液体窒素で患部を凍らせる方法が一般的ですが、電気やレーザーを使用することもあります。