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【平成19年度活動報告】ハンセン病資料収集事業 [2008/11/14]

ハンセン病資料の収集・保存に関する試みは、平成13年10月の熊本県委託事業「ハンセン病施策関連資料調査」に端を発したプロジェクトです。調査の中で、県内にはハンセン病に関する多くの資料が現存していることが明らかになりました。これらの資料は医学的資料を始めとして、熊本における社会事業や療養所内外の百年余に亘る歴史の変遷を示す多彩なものです。
現在日本にはハンセン病の療養施設が15ヶ所あり、入所者数は2800人程度、平均年齢は80歳です。退所者を含め、ハンセン病を過去に患った方の人口は減っていく一方で、新規患者も微少となり、日本におけるハンセン病医療は新たな側面を迎えています。今後の療養所における医療レベルの確保などを目指した「ハンセン病基本法」が今年六月に制定されたのは記憶に新しいところです。
世界においては、WHOがハンセン病の制圧※キャンペーンを行い、ほぼ世界全域において達成されました。一方でハンセン病が抱える社会的な問題は未だ深刻であり、国連を始め多くの組織と人々によって働きかけが行われています。長い政策史と豊富な資料群を持ち、またその社会問題に国をあげて取り組み続ける日本が、世界に発信できる情報は多いと、関係者は期待しています。
このように、ハンセン病における経験を今後に生かすための模索は、さまざまな形で必要とされています。同時にハンセン病を取り巻く状況の変化により、関連資料の散逸と劣化が危惧されています。肥後医育振興会ではプロジェクト発足以降、国立療養所菊池恵楓園や待労院診療所など各機関と協力して、資料の収集と保存のための作業を進めてきました。特に待労院診療所におけるデータベース化は、当診療所の歴史編纂事業と並行して資料の整理が進み、作業が大詰めを迎えています。今後も、ハンセン病資料の収集と保存、活用の基盤作りのために、コツコツと進めて参りたいと思います。
(※1万人に1人以下の有病率)