【司会】 肥後医育振興会理事・熊本大学医学部長 山本 哲郎 氏 |
【座長】 熊本大学大学院医学薬学研究部小児科学分野教授 遠藤 文夫 氏 |
【講師】 国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部部長 斎藤 博久 氏 演題:『アレルギー予防のためにした方がよいこと、しなくてもよいこと』 |
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【講師】 国立病院機構相模原病院臨床研究センター アレルギー性疾患研究部部長 海老澤 元宏 氏 演題:『増加する食物アレルギー』 |
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【講師】 国立病院機構熊本医療センター小児科医師 緒方 美佳 氏 演題:『乳児アトピー性皮膚炎と食物アレルギー』 |
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第32回肥後医育塾公開セミナー「食生活とアレルギー」が9月22日、熊本市水前寺公園の熊本テルサで約300人が参加して開かれた。(財)肥後医育振興会、(財)化学及血清療法研究所、熊本日日新聞社が主催し、熊本大学、熊本県、熊本市、熊本県医師会が後援した。肥後医育振興会理事で熊本大学医学部長の山本哲郎氏が司会、同大大学院医学薬学研究部小児科学分野教授の遠藤文夫氏が座長を務め、日常生活の基本となる「食生活」の観点から、アレルギーが起こる原因や諸症状、その対処法などについて、アレルギーに詳しい小児科医3氏が講演した。講演後の総合討論では、参加者から、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などに関するさまざまな質問が寄せられ、関心の高さをうかがわせた。
Q リンゴ、キウイ、メロンなどを食べると、口の中に違和感があったり、のどがイガイガしたりします。
A シラカバ花粉症の交差反応(複数の花粉による反応)によるリンゴ口腔(こうくう)内症状が出ているのでしょう。ハンノキ、ブナ花粉などの検査をしてみてください。
Q 皮膚科で「アレルギーの素因があるので、離乳食は血液検査が可能な6カ月以降にした方がよい」と言われました。
A 湿疹などがない状態であれば離乳食は普通に進めてよいと思います。心配ならば離乳食開始前に小児科で、お子さんの血液検査や皮膚テスト、お母さんの食物除去試験や負荷試験などを受けられてはいかがでしょう。
Q 牛乳アレルギーの子どもの乳製品はどの程度、除去したらよいですか。
A 通常、症状が誘発され、牛乳アレルギーと診断した場合、乳製品は完全除去になります。牛乳のほか、バター、ヨーグルト、チーズなどすべての乳タンパクを含む食品が対象になります。
Q ピーナツアレルギーを持ったお子さんがピーナツを1かけ口に入れてしまい、唇が腫れた後、せきをし始めました。これは危険な状態でしょうか。
A 直前まで症状がまったくなく、急にせきが出たのなら、呼吸器症状が出始めたサイン。特に犬がほえるようなせきになったら危険です。早めに医師に診てもらってください。
Q 牛乳が皮膚にかかったら丁寧に水で洗い流すよう指導されました。
A 子どもの皮膚は大人に比べると、物質をよく通すため、重度の牛乳アレルギーの場合、皮膚に触れただけでも腫れ上がることがあります。牛乳がついた部分を水でよく洗い流すことが重要です。
Q 負荷試験で牛乳を17ccまでは飲めますが、それ以上は本人がちゅうちょします。飲めるようになりますか。
A 恐怖感からやめたのか、発疹など客観的な症状が出てやめたのかで違いますが、食材を事前に知らせないブラインド負荷試験をやって、本当に飲めないのか確かめてください。
Q 保育園で蒸しパン、クラッカーと一緒に牛乳を飲んだ時、湿疹が少し出たと報告を受けました。
A 組み合わせというより量の問題でしょう。安全のためにも、保育園などでは、アレルギー症状が出る食物は完全除去しておいた方がよいと思います。