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【講師】 |
『【講演4】AIがあぶりだす隠れ心臓病』
早期発見への活用を期待
心臓病は重症になるまで見つけるのが難しい病気です。早期診断にAIをどう使えばいいかを、三つの病気を例に紹介します。
まず、心臓の筋肉にタンパク質のごみが溜まりポンプ機能を障害する心アミロイドーシスという病気です。一種の加齢現象とも言え、それほどまれな病気ではありません。エコー写真だけでこの病気を疑うのは心臓が専門の医者でも難しく、精密検査が必要とはなかなか言えません。そこでAIの導入です。熊本大など日米の大学にあるエコーのデータを集めました。その結果、写真だけで正確な診断が下せる確率は五分五分だったものが、AIを使うことで精度が90%ほどまで上がりました。根本治療もできるようになっています。
次は大動脈弁狭窄症で、年齢とともに誰でもなると言っても過言ではありません。大動脈弁が開かないため全身に血液を送り出しにくくなる病気です。聴診器を当てて雑音が聞こえればこの病気だということは分かります。ただ、重症かそうでないかは、超音波で検査しないと判断できません。
そこで200年の歴史がある聴診器を進化させた「超聴診器」が開発されました。心音と心電を同時に取得し、そのデータを送ればAIが「治療が必要な大動脈弁狭窄症かもしれない」と教えてくれます。どんな遠隔地にいようと、超聴診器を胸に当ててデータをインターネットで送れば診断できます。そして開胸手術をすることなく、カテーテルを使って行うTAVIという治療法が行われています。
最後は不整脈の一つ心房細動です。原因は心臓の左房に入ってくる4本の血管にあり、放っておくと心不全になります。最初は心房細動がたまに出る、時々出るというタイプが多く、「ちょっときついな」程度だから見つけるのが難しかったのです。
現在はスマートウオッチの性能向上で、心房細動を教えてくれる時代になりました。スマートウオッチはなくても、活用できるのが血圧計です。血圧もとても重要ですが、同時に脈拍を見ていただきたいです。いつもは70とか80のものが、心房細動の時は100とか120とかになります。スマートウオッチをつけたり脈を取ったりして、心房細動を見つけてもらいたいと思います。一方、心筋梗塞の予知というのはできていません。
命を脅かす心臓血管疾患では、診断と治療の双方でAIが使われ始めています。今後医者は減っていくので、AIが果たす役割はもっともっと大きくなります。