![]() |
【講師】 |
『【講演1】医療革命の入り口に立つ人工知能技術』
急速に進歩する医療AI
工学系の観点から日々進化しているAI技術をご紹介したいと思います。AIは身の回りの至るところで使われています。チャットGPTとか、グーグルGeminiのような最近出てきたテキストベースで何か聞くと人間のように答えてくれる技術もあり、こちらも皆さんよく使われているのではないでしょうか。
AIという言葉が初めて出てきたのは1956年。そこから現在に至るまで3回のブームを経ています。第1次はまさにAIという言葉が出てきた時。第2次は1980年代、そして第3次は2010年頃から今に至っています。
2012年に「深層学習」、ディープラーニングとも呼ばれる技術が画像認識で大きな成功を収め、注目を浴びました。これがAIのブレークスルーを起こした技術です。これと半導体技術の進歩によりコンピューターの性能が上がったことが重なり合って、AIが本当に使える技術になりました。深層学習とは、われわれ人間の脳の中の神経細胞網にヒントを得る形で、その情報処理形態をモデリングしたものになります。
何かしらトレーニングを経ると、例えば人間が判断するのと同じように画像の分類が可能になります。これがディープラーニング技術の最もコアな面です。これができると物体検出だったりとか、新薬を作ったりとか自動運転とか、いろいろな技術への応用が可能になってきました。
さらに2022年11月にチャットGPTが登場し、生成AIという形で爆発的に応用が広がっています。生成AIモデルで、われわれが使う言葉に対する処理は「大規模言語モデル」と呼ばれるものが行っています。
これには「トランスフォーマー」という技術が関係します。例えば、「学生が本を」に続く言葉に対して、「食べた」「開いた」「泣いた」「焼いた」という四つの候補があったときにどれを選ぶかといった問題をひたすら学習させます。そうすると、次の単語が予測できるようになります。これがこのトランスフォーマーがやっているタスクです。これを利用して、文章の生成ができるようになってきました。
GPT、いわゆる大規模言語モデルは、急速に進歩する医療のAIとしても非常に注目を浴びています。究極的には、医師の代わりに問診から診断までを行う未来というのを最終的なゴールとして、いろいろな試みがされていると思います。「AIと医療従事者の協働により、より質の高い医療を実現していく」ということが言えるのではないでしょうか。