ニュース

肥後医育塾公開セミナー

令和2年度 第2回公開セミナー「あなたがもし「がん」にかかったら」

【講師】
熊本大学病院緩和ケアセンター特任教授
吉武 淳(あつし)

『【講演C】身近になってきた「緩和ケア」の最前線』
信頼できる人と情報共有を 話し合いの繰り返しが大切


   本日ご来場のほとんどの方々は、熊本地震を経験されたと思います。しかし、皆さんはまさか℃ゥ分が地震という大災害を経験するとは夢にも考えていなかったのではないでしょうか。近年、がんは2分の1の確率で患う病気だといわれるようになりました。だとすれば、まさか℃ゥ分が、あるいは家族が、がんを患うという現実が起こり得ると思いませんか。このまさか≠フ時に知っておくべき知識の一つが「緩和ケア」です。
 緩和ケアとは、病気に伴う心と体の痛みを和らげることです。また緩和ケアは終末期医療と同じ意味ではなく、重い病気と診断された時点から始めるべき医療・ケアといわれています。その重要性が徐々に認識されつつあり、がんだけでなく慢性心不全や腎不全、呼吸不全、神経筋疾患なども緩和ケアの対象といわれるようになってきました。詳しくは熊本大学病院緩和ケアセンターのホームページをご覧ください。
 次に、その重要性が強調されるようになった、意思決定についてお話しします。がんと診断されると、治療方法などについて非常に大切な同意を求められます。しかし、人間は先が見えないと不安になるものです。自分の病状がどんな経過をたどるのか、いつ治るのか、治療や入院生活はいつまで続くのか、治療費はどれくらいか─。時には人生の終着駅が頭に浮かんできて、眠れなくなる方もいらっしゃるでしょう。
 これらの不確定要素、特に終末期医療に備えるために厚生労働省は「もしものときのために、自らが望む医療やケアについて前もって考え、家族など信頼できる周囲の人たちや医療従事者らと話し合い、共有する取り組み」として、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」を推奨しています。もっと詳しく知りたい方は、「あれんじ」2020年2月1日号をご覧ください(肥後医育振興会のホームページから閲覧できます)。
 地震などの自然災害から身を守る準備を怠らないように、健康の万が一≠竅A命のまさか≠ノ備えることはとても大切です。一人で考え込まず、まずは家族や医療関係者の誰かと話し合ってみませんか。将来的に考えが変わることもあるので、すぐに結論を出す必要はありません。場合によっては合意形成に至らなくても、互いに意思表明をして話し合ったという事実が第一歩になります。まさか≠フ時に本当に大切なものは何なのか、まずは話し合ってみてください。