肥後医育塾公開セミナー

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令和2年度 第2回公開セミナー「あなたがもし「がん」にかかったら」

【講師】
日本赤十字社熊本健康管理センター 所長
吉田 稔

『【講演A】キャンサーサバイバーシップ(がんと共に生きる)の道しるべ セカンドオピニオン』
担当医と十分な話し合いを セカンドオピニオンも大切


   がんと診断されると、さまざまな困難に直面し、多くの方が深い孤独を感じ苦悩されるといいます。タイトルの「キャンサーサバイバーシップ」の「キャンサー」とは「がん」のことです。つらいがんと共に生き、克服し、生き抜いていくことが「サバイバーシップ」です。がんと診断された方のみならず、共に影響を受ける家族や友人、介護者も対象になります。
 支える仕組みには、がん拠点病院、回復期病院、かかりつけ医、介護事業者、訪問看護、歯科診療所、緩和ケア病棟、薬局などがあります。がんの悩みを抱えた患者さんを専門家につなぐ仕組みも用意されています。がん拠点病院のがん支援センターには「がん専門相談員」が、病院外には「がん医療ネットワークナビゲーター」がいます。診療の悩みや身体の苦痛、心の苦悩、暮らしの負担、その他、人との関わりなどについて、専門家に相談することによって、直面する問題を整理できるようになります。
 がんの診断や治療の場面では、患者・家族が正しい情報に基づいて担当医と十分に話し合い、納得して治療を受けることが大切です。担当医の意見(ファーストオピニオン)に納得するために、現在診療を受けている担当医とは別の医療機関の医師に第2の意見を求めるのが「セカンドオピニオン」です。ただし、その後も担当医の下で治療を受けることが前提になります。治療に急を要するケースを除き、がん診療拠点病院の担当医がセカンドオピニオンの申し出を断ることはありません。
 セカンドオピニオンを受ける病院は担当医に相談しても構いませんが、言い出しにくい場合は、がん相談支援センターのがん専門相談員や医療スタッフにも相談できます。病院が決まれば、担当医から紹介状や資料を受け取り、受診の準備をします。自費診療(1回当たり数万円程度)となります。受診時間は限られているので、事前に聞きたいことを整理しておくことが重要です。さらに受診の際は、誰か信頼できる人に同行してもらうようにしましょう。家族の代理受診も可能です。そして最後に、セカンドオピニオンを聞いた結果どうするのかを担当医と話し合ってください。
 セカンドオピニオンは、本人や家族が病気を理解し、納得して治療を受けていただくための大切なプロセスと理解していただけるとよいと思います。