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肥後医育塾公開セミナー

令和元年度 第2回公開セミナー「あなたもかかる? 知っておきたい感染症」

【講師】
熊本産科婦人科学会理事
片渕美和子

『【講演B】誰に相談する?性感染症』
あらゆる性行為が感染源に 早めの受診でお互いを守る


  感染症は、性的な直接接触によって人から人へ感染します。感染しても症状が出ないことも多く、また不安があっても医療機関を受診しづらいことから、性感染症が治療を受けないまま静かに拡大することになります。女性の感染は将来の母子感染につながるため、予防のために妊婦健診の初期検査には性感染症の検査も含まれています。
 ネット社会の中、誰とでも簡単に知り合える環境は、性行為の低年齢化、交際相手や性行為の多様化、望まない性行為(レイプ)など、性感染症に感染する機会を増やしています。自分と、自分の大切な人を守るために、性感染症の知識を確かなものにしなければなりません。
 性感染症で多いのは、性器クラミジア感染、淋(りん)菌感染、尖(せん)圭(けい)コンジローマ、性器ヘルペスです。クラミジア感染は女性に多く、妊婦の10%近くが感染しているという報告もあります。治療しないと骨盤腹膜炎や不妊、流産、早産の原因となることもあります。淋菌感染は男性に多く、排尿時の痛みやうみの排出などの症状で受診されます。風俗店での感染も多く、1回の膣(ちつ)性交または口(こう)腔(くう)性交により30%以上の確率で感染するといわれています。クラミジアや淋菌は喉にも感染し、これが感染源になるとともに治療も簡単ではありません。尖圭コンジローマや性器ヘルペスは外陰部に特徴のある病変が現れることで受診されますが、多くは症状のない人からの感染です。性器ヘルペスは、感染したヘルペスウイルスが神経節に潜伏するため、その後に性行為がなくても、加齢や免疫力の低下によって再発を繰り返すことがあります。
 最近注目されているのが梅毒の増加です。男性に多いのですが、10〜20代では女性の感染も多く、外陰や皮膚にしこり、発疹がある場合は早めの受診が必要です。このほか、ヒトパピローマウイルス(HPV)の中には、子宮頸(けい)がんや男性の陰茎がん、肛門がん、頭頸部がんとの関連がある高リスクのものがあります。
 人としての営みである性行為も感染の機会となること、病原体が2人の間を行き来すること(ピンポン感染)を忘れないでください。性感染症が疑われたら、パートナーと共に泌尿器科、産婦人科、皮膚科などで、検査や治療を受けましょう。保健所でも無料、匿名で、HIV(エイズウイルス)やクラミジア、梅毒などの検査をしてくれます。受診をためらわないこと、2人の間できちんと話ができる信頼関係をつくり、性感染症からお互いを守りましょう。