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肥後医育塾公開セミナー

平成31年度 第1回公開セミナー「食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、じんましん、薬疹」

【講師】
熊本地域医療センター
小児アレルギー科 医長
西 奈津子

『【講演C】食物アレルギーのファーストステップ』
「必要最低限の除去」が基本 予防対策にはスキンケアを


  食物アレルギーは、乳幼児では10人に1人の割合で認められますが、年齢とともに減少し、成人になると1〜2%程度になるといわれます。原因となる食品はさまざまで、年齢によって好発食品が異なってくるという特徴があります。例えば0歳児では卵、牛乳、小麦がほとんどを占め、成人では小麦、魚、甲殻類などが上位に来ます。
 食物アレルギーの症状はじんましんが有名ですが、他にも口や目がかゆいなどの粘膜症状、息苦しいなどの呼吸器症状、腹痛や嘔吐(おうと)などの消化器症状が起こることもあります。これらのうち、特に注意していただきたいのは呼吸の症状です。せきが止まらない、喉からゼイゼイ、ゴロゴロ音がする、肩で息をして苦しそう―などの症状が出た場合は、救急車を呼んででも急いで受診してください。このような呼吸器症状が出た人の2〜3割が「アナフィラキシーショック」というアレルギーの一番重篤な全身性の症状に移行することがあるからです。
 食物アレルギーの診断で最も大切なのは「検査」ではなく「問診」です。いつ、どんな食品を、どのくらい食べたか、どんな症状が出たか、症状改善までにどれだけ時間がかかったか、再現性はあるか―などを聞き、原因を絞り込んでいくことが最も重要です。その上で、必要な検査を行っていくことになります。
 診断がついた後、食物アレルギーの治療の基本は「必要最低限の除去」です。少し難しい話になりますが、食べ物を「栄養である、体に取り込んでよい」と判断しているのは腸である、ということが最近分かってきました。これを「経口免疫寛容」と言います。アレルギー食品は、腸から許可をもらえていない状況といえます。なので、症状が出ない程度の量を少しずつ食べて、腸に届けて、その食品を栄養として認めてもらえるようにすることが食物アレルギーの治療につながると考えられています。ただし、集団生活の場面では安全性を考慮して完全除去が望ましいとされています。
 また、経口免疫寛容が得られる前に、湿疹などで傷ついた皮膚から食物の成分が染み込むことを繰り返すと、食物を栄養ではなく異物(侵入者)として攻撃してしまう誤った免疫システムが作動してしまうことがあります。特に離乳食期はいろいろな食物を食べ始める大事な時期です。日頃から皮膚、特に口周りを「しっとりときれいに」保つスキンケアを心掛けていただくことが、赤ちゃんの食物アレルギー予防のためにも大変重要だといえるでしょう。