【座長】 |
『イントロダクション「認知症の種類」』
多様な病態があり、治る疾患も
超高齢社会の到来により、日本の総人口に占める65歳以上の割合は30%に迫ろうとしています。2012年時点で全国の65歳以上の認知症有病率は15%、有病者は462万人を数えます。さらに、軽度認知障害を持つ高齢者が約400万人いると推計されています。
さて、認知症といいますが、これは病名ではなく、ものを忘れる、判断ができにくいといった病態を指します。その約半数を占めるのがアルツハイマー型認知症です。そのほか、血管性認知症やレビー小体型認知症、正常圧水頭症など、さまざまな疾患がありますが、甲状腺機能低下症やビタミン欠乏症などで起こる認知症は治療可能なため、認知症を来した患者さんは早期に専門医にかかり、認知症の鑑別を行う必要があると思います。
ただ、老化によるもの忘れ「生理的健忘」や「うつ状態」と、注意散漫や幻覚などの症状が突然現れる「せん妄」などとは、区別して理解する必要があります。
皆さんにはぜひ、治る認知症もあることを知っていただき、早期の受診をお願いしたいですね。