肥後医育塾公開セミナー

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平成28年度 第2回公開セミナー「みんなで減らそう、糖尿病!」

【講師】
菊池群市医師会立病院長
豊永 哲至(てつし)

『糖尿病の早期治療の重要性』
早期治療開始に 三大合併症の抑制効果


   血糖値が正常な状態から上昇していくと「境界型(予備群)」となり、さらに上がると糖尿病と診断されます。
 予備群の段階でも心筋梗塞や脳梗塞につながる動脈硬化症が起こってきます。糖尿病になると、三大合併症といわれる網膜症、腎症、神経障害などが起こり、失明や人工透析、足の切断などに至ることがあります。そのため、糖尿病の治療と並行して、合併症の予防も必要になります。
 予備群の段階なら糖代謝を正常に戻すことができますが、糖尿病になってしまうと、正常に戻すことは難しくなります。糖尿病の予防には、運動や食事などの生活習慣の改善が最も有効であることが分かっています。
 糖尿病になりやすいのは、肥満や高血圧、血縁者に糖尿病のいる人、運動不足や40歳以上の人、妊娠糖尿病や巨大児出産の経験者などです。正常だと思っている人も、空腹時血糖値が100を超えている場合は、糖負荷試験を受けてみてください。中にはすでに糖尿病になっているケースもあります。早期の糖尿病は自覚症状がないため、ぜひ毎年、検診を受けるようにしてください。
 糖尿病と診断された場合は、日常の血糖管理が重要になります。早期から積極的に血糖管理を行うことで、治療効果はその後も遺産≠フように残り、長期にわたって合併症抑制効果が持続します。
 糖尿病治療の目的は、日常生活の質(QOL)の維持と寿命の確保です。そのためには合併症の発症や進展阻止が必要です。血糖管理だけでなく、血圧や体重、脂質の管理といった包括的な治療が必要になってきます。具体的には食事療法や運動療法のほか、血糖や血圧、脂質に対する薬物治療、禁煙なども必要です。複数の危険因子に対し、積極的な治療を受けることが重要になります。
 血糖管理の目標は、年齢や罹病(りびょう)期間、合併症の状態や低血糖のリスク、そして家族などのサポート体制を考慮し、個別に設定すべきだということが分かっています。個人的な治療目標の設定については、主治医と相談して治療を進めるようにしてください。