肥後医育塾公開セミナー

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平成28年度 第2回公開セミナー「みんなで減らそう、糖尿病!」

【講師】
県健康福祉部健康局健康づくり推進課長
坂本 弘一

『熊本県における糖尿病の現状と対策』
発症・重症化防ぐ 切れ目ない保健医療体制


   県民健康・栄養調査(2011年度)によると、糖尿病予備群の推計数は10万6000人、有病者数は7万3000人に上り、40〜74歳の4人に1人が糖尿病かその予備群という状況です。
 県内の特定健診結果(10年度と13年度)は、空腹時血糖値とHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)が、男女共に全年齢で全国平均を大きく上回っています。健診の後、通院している人は40%程度で、残りの約60%は適切な治療につながっていません。糖尿病の受療率(入院)は全国で3番目に高く、人口100万人あたりの人工透析患者数も2番目に多く、透析患者のうち40.7%は糖尿病の重症化が原因という現状です。
 そこで県は、糖尿病につながる生活習慣病の発症予防と重症化予防を重点施策の一つに掲げ、保健医療連携体制の整備、治療や療養指導に携わる人材の育成、予防対策の推進などを行っています。
 県糖尿病対策推進会議(事務局=県医師会)を母体として、熊本大学附属病院を中心に、糖尿病の発症、重症化、合併症を予防するため、多機関、多職種の連携による“切れ目のない保健医療サービス"を提供するための体制整備を推進しています。
 これにより県内の圏域ごとに、保健所が中心となって熊本大学附属病院と医師会、市町村、関係団体による連携会議を開き、顔の見える関係づくりが進められ、連携ツールの作成や病院と診療所の連携体制の構築が進んでいます。
 そして糖尿病診療や療養・保健指導の質の向上を図るため、19年度までに糖尿病連携医を251人、糖尿病専門医を106人、熊本糖尿病療養指導士(CDE─K)を2000人養成する目標を掲げています。
 また、県糖尿病対策推進会議では、糖尿病患者の自己管理を支援するため、自己管理チェック表や検査結果などを書き込む糖尿病連携手帳がセットになった「DM熊友(ゆうゆう)パス」の利用促進のための活動を行っています。パスを携行する患者さんが関係機関で提示することで、関係者の情報共有・連携ツールとなることが期待されます。