【講師】 |
『子どもの時からできる糖尿病予防と肥満対策』
小児期の生活習慣 成人後の健康に影響
子どもの糖尿病の一部は、学校での検尿によって発見されています。熊本市では、小学生から高校生までの児童・生徒の2000人に1人が精密検査の対象になっています。決して多くはありませんが、糖尿病のリスクを持った子どもをできるだけ早く見つけ、介入を行わなければなりません。
糖尿病のリスクとしてまず、子どもの肥満を心配しなければなりません。海外では、小児期の体重が基準より約5キロ増加するごとに成人以降の心疾患による死亡率が1.2倍になり、約20キロ増で2倍になる─などの報告があります。幼児期早期にBMI(肥満度)の増加が加速する子どもは、血糖値の上昇を正常に戻す機能に異常がある「耐糖能異常」の可能性があることや、「アディポシティリバウンド=Adiposity rebound」(BMIが減少に転じた後に再度増加に転じること)の時期よって、糖尿病リスクを見分けられるようになってきました。
子どものころに肥満でも成人までに解消した人は、子どものころの肥満はなかったことと同じになるという報告もあります。ですから、成人までに肥満を解消することが大事になります。
熊本市では小児生活習慣病予防検診が行われ、標準に比べ2割体重が重い小学4年生を対象に計測や採血、診察が行われています。2015年度は4年生6525人のうち肥満度20%以上の児童は526人(8.1%)、そのうち273人(51.9%)が再受診し、「異常あり」の所見があった児童は115人(再受診者の42.1%、4年生在籍者の1.8%)でした。
子どもの食事や運動などの生活習慣を少しでも改善し、その習慣を長続きさせる工夫はとても大切で、子どもの10年後、20年後の健康に大きな影響を与えると思います。