肥後医育塾公開セミナー

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平成23年度 第3回公開セミナー「認知症を考える」 〜医療・介護・地域支援のいま〜

【講師】
熊本市中央4地域包括支援センターやすらぎの森センター長
那須 久史

『《講演C》認知症の方を地域で支えるために』
支え合いのネットワーク強化


   地域包括支援センターには、保健師、主任介護支援専門員、社会福祉等の専門スタッフを配置し、介護や健康、権利擁護のほか、生活のさまざまな相談を受け付け、暮らしやすい地域づくりを目指しています。その活動の柱は3つあります。
 1つ目は、認知症の人を支える援助です。認知症を支える体制としては医療、介護、地域支援がありますが、私どもの地域包括センターには認知症地域支援推進員というコーディネーターがおり、介護から医療につなぐ活動及び地域で体制づくりに関する活動をしています。この活動では、かかりつけ医とケアマネジャーが連携し、専門医につなげたなどの事例があります。
 2つ目は、認知症の人を支える環境への援助です。身近な地域での「ふれあい・いきいきサロン」に関する事例を紹介します。このサロンは長年、民生委員をされていた女性が、平成16年にサロンを開始。そのスタート時から参加されていた方が、糖尿病性網膜症の悪化や認知症の発症により、平成20年ごろからサロンに顔を見せなくなり、老人保健施設に入所。その後全盲になられましたが、「サロンに行ってみたい」と、本人が希望されたので、施設の理学療法士等が介助してお連れしました。3年ぶりに参加されたサロンでは皆さんから笑顔で迎えられ、同伴の家族の方も喜ばれ、生活の継続性の大切さを感じました。
 3つ目は、認知症の人を支える環境をつくる援助です。実は平成16年ごろ熊本市認知症高齢者支援ネットワークをつくろうということで、認知症専門医、学識経験者、弁護士、施設の方々が一緒になって体制づくりをしました。
 当センターの担当地域は熊本市の託麻原・帯山西校区。託麻原校区に認知症の方は推計で275人いるとされています。私たちは校区で認知症を自らの問題として認識してもらおうと、認知症サポーターを約120人養成。昨年10月には託麻原小で、認知症キッズサポーター養成講座も開くことができました。
 さらに託麻原校区全体で、認知症の方を見守る地域体制づくりを目指しています。認知症への取り組みの先進地域である山鹿市に研修に行きその後、認知症支援フォーラムを熊本学園大学で開催しました。3月18日には、熊本市では初の「徘徊者捜索・声かけ模擬訓練」を実施する予定です。
 当地区にはマンションが多いため、住民の情報管理面で課題もありますが、住民のつながりを深めながら、支え合いのネットワークを、さらに大きく広げて行きたいと思っています。