【講師】 |
『《在宅医療を支える専門職からの報告と提言》D住み慣れた自宅や地域で暮らし続けるために 〜地域包括ケアシステムの構築に向けて〜』
在宅ケアの基盤整備へ
県内の高齢者(65歳以上)の割合は、全国平均22・7%に対し、25・5%(2009年度)。平均寿命は全国で男性が10位、女性は3位。人口10万人当たりの100歳以上の割合は6位です。これらがいずれも全国10位以内の都道府県は熊本だけ。全国有数の長寿県です。
一方、要介護認定者の割合も全国と比べると高く、この割合は75歳を超えると上昇し、80歳を過ぎると40%を超える状況です。
県では2025年に団塊の世代が75歳以上となり、高齢者人口がピークを迎えます。県民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となります。
25年に向けて「地域包括ケア」の視点がさらに重要になってきます。地域包括ケアとは高齢者の方が住み慣れた地域で必要とする介護、医療、介護予防、住まい、生活支援のための各種サービスを一体的かつ継続的に受けられるということです。
熊本県は特別養護老人ホームや老人保健施設など、施設サービスの一人当たりの給付費では全国平均を大きく上回っていますが、訪問介護やデイサービスなどの居宅サービス、グループホームや小規模多機能サービスなどの地域密着型サービスは平均を下回っています。また自宅で亡くなる人の割合は8・6%と、全国平均の12・7%を下回っています。
そこで県では、認知症対策とともに、在宅療養を支えるための基盤整備を進めることとしています。昨年度から専任の組織を設置。本年度は、医療機関における在宅復帰支援や専門機関による在宅療養を支えるネットワークグループの活動支援、中山間地域での24時間在宅サービスモデル事業、訪問看護ステーションのサポートセンター設置や、訪問看護の人材育成事業などを実施する予定です。