【講師】 |
『《講演4》膵がんを知ろう』
増加傾向の“難治がん”
膵(すい)がんは5年生存率が5%未満と、難治がんの代表です。初期には症状に乏しく、進行しても特徴的症状が少ないため、早期発見が難しいのが現状です。近年、増加傾向にあり、60歳ぐらいから発症が増えています。
膵臓は横に細長く、長さ約15センチ、幅約3〜5センチ。厚さは2センチ程度で、胃の裏の大動脈と胃の間にあります。進行すると、がんが周りの組織に浸潤したり、散らばったり(転移)しやすい特徴があります。
膵がんの危険因子には、喫煙のほか、糖尿病、肥満、膵炎、膵がんの家族歴、遺伝性膵炎などが報告されています。検査には血中の消化酵素や腫瘍マーカーと呼ばれる物質を調べる血液検査、超音波(エコー)、CT、MRI、FDG‐PET、超音波内視鏡(EUS)などがあります。
膵がんの治療では、手術、放射線療法、化学療法を病気の進行度に応じて選んだり、それらを組み合わせた集学的治療を行ったりします。手術は大がかりになることが多く、体に負担がかかりますが、治癒が可能な唯一の治療法です。手術関連死の比率は消化器がんの中でも高い状況にあります。ただ、膵がんの手術が少ない施設での死亡率が高い一方、高度な手術を数多く行っている施設(ハイボリュームセンター)では、より安全に手術できます。つまり治療を受けるなら、外科、腫瘍内科、消化器内科、画像診断科などのさまざまな専門医や、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士など多職種が参加した質の高いチーム医療がなされている膵がん専門施設が望ましいでしょう。
そうしたことも含め、膵がんに関する情報を得るには、日本のNPO法人が開設しているインターネットサイト「パンキャンジャパン」を調べてみるのも一つの方法です。専門医による解説や患者家族のメッセージ映像、ハンドブックなども閲覧できます。