【座長・講師】 |
『《総 論》消化器がんの現状紹介』
集学的治療が一般的に
日本では今、年間約100万人の方が亡くなっていますが、そのうち、がんによるものが3分の1を占め、年々、増加傾向にあります。内訳は、食道がん3.4%、胃がん14.5%、大腸がん12.4%、肝臓がん9.5%、胆のう・胆管がんが5.1%、膵臓(すいぞう)がん7.7%と、消化器のがんが全体の52.6%を占めています。
がんは細胞内の遺伝子の異常によってでき、腫瘍が悪性化して際限なく増殖。そして周囲の臓器に広がり、血管やリンパ管の中に入って体中に広がります。そのため、早期に発見・治療することが重要です。皆さんには定期的な検診をお薦めします。
がんを引き起こす危険因子は、がんの種類によって多少異なりますが、共通するのは喫煙で、たばこを吸う人は吸わない人に比べ、がんを発症しやすくなります。食習慣も影響し、肉類や塩分、アルコールなどの過剰摂取、熱い飲み物はさまざまながんを発症させる要因になります。逆に、一定量の野菜や果物を食べると、消化器のがんはできにくくなります。また、肥満もがんを引き起こす要因の一つで、逆に適度な運動はがんを抑制する効果があります。従って日常の心掛けで、がん予防は可能なのです。
がんの治療法には、手術のほか、抗がん剤や放射線投与などがありますが、最近はこれらを組み合わせた集学的治療が一般的です。そして、外科医、内科医、放射線科医、精神神経科医、看護師、CRC(治験コーディネーター)、薬剤師、放射線技師など、多くの専門家が関わる「チーム医療」が、現在のがん治療の在り方です。