肥後医育塾公開セミナー

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平成21年度 第2回公開セミナー「慢性腎臓病(CKD)と生活の質の向上」

【講師】
熊本市健康福祉局総括審議員
山内 信吾

『〈講演4〉熊本市のCKD(慢性腎臓病)対策について』
病診連携の充実めざす


   熊本県は平成20年度の調査で、人口100万人当たりの人工透析患者数が全国比1・4倍(3104人)です。熊本市についても、人口100万対比の透析患者数が中核市で全国一多く、ここ10年間で2倍近く伸びています。
 市民の健康を守る上で大変重要な問題と考え、平成21年度から市を挙げてCKD対策に取り組んでいます。早期対応で病気の予防・治療が可能になったことや、潜在患者が多いことなども、取り組む契機の一つとなりました。
 CKDは生活習慣病と深くかかわっており、心血管疾患の脳卒中や心筋梗塞の危険因子です。早期発見にはまず健診が大切になります。
 腎機能の評価法として、最近、分かりやすく便利な指標が用いられています。「eGFR」(推算糸球体ろ過量)といって、腎機能の状態を数値で表すものです。90以上を正常値と考え、例えば50なら半分程度の腎機能に低下していることを意味します。熊本市の国民健康保険証をお持ちの方の特定健診には、特別にeGFRが分かる血清クレアチニン検査を入れていますので、調べることができます。
 eGFRの数値が3カ月以上、60未満だと腎機能がやや低下している状態ですから、「熊本市CKD対策推進病診連携医」を受診いただくことをお勧めしまキ。この制度は、熊本市CKD対策推進に協力される、かかりつけ医と腎臓専門医の先生方との連携システムで、熊本市内227人のかかりつけ医の先生方に登録いただいています。熊本市のホームページに詳しい内容を紹介しています。
 腎機能のチェックは尿検査でも可能です。腎機能が低下すると、尿中のタンパクが増加するため、特定健診で分かります。ところが20年度の健診率は15%程度と、まだ少ないのが実情です。年に1度は尿検査も行ってください。市民の皆さんの健康を守ることですから、ぜひご理解とご協力をお願いします。