肥後医育塾公開セミナー

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平成21年度 第2回公開セミナー「慢性腎臓病(CKD)と生活の質の向上」

【講師】
熊本中央病院腎臓科部長
有薗 健二

『〈講演3〉透析って何?』
体内の老廃物など除去


   透析療法を受けている患者さんは全国で約28万人、国民の450人に1人の割合です。透析の原因として、糖尿病が最も多く、高血圧が基で腎臓が悪くなる腎硬化症が年々増加しており、新たに透析を始める患者さんの平均年齢も67才と次第に高齢化しています。
 腎臓の働きは、血液中の老廃物や余分な水分を除去して血液をきれいにすることです。つまり、体の中の老廃物や余分な水分は尿として体の外に出て行きます。腎機能が低下すると老廃物や余分な水分が体にたまりますが、その働きを肩代わりするのが透析療法です。
 透析療法には、血液透析と腹膜透析の2つの方法があります。血液透析は、体の外に血液を取り出し、ダイアライザーという半透膜でできた特殊フィルターに通します。このダイアライザーの中で血液と透析液が膜を介して接することで、体内の老廃物や余分な水分が除去されます。通常、血液透析は週3回(1回4〜5時間)、病院やクリニックで行います。
 腹膜透析は、おなかの中にカテーテルを挿入し、それを通して透析液をおなかの中に入れます。おなかの中の膜(腹膜)を介して血液と透析液が接することで、体内の老廃物や余分な水分を除去することができます。血液透析のような大掛かりな装置は必要なく、職場や自宅でもできます。また、夜間寝ているときに自動的に透析液をおなかの中に入れる機械もあり、患者さんの仕事や生活スケジュールに合わせてできる利点があります。通常、病院に通院するのは1カ月に1〜2回ですが、その分、自己管理が極めて重要になってきます。
 患者さんの生活スタイルに合わせ、これらの透析療法を選ぶことができます。透析療法というと暗い印象を持たれがちですが、自己管理すれば、学校、職場、家庭でも、ほとんど通常の方と同様、元気に過ごすことが可能です。