肥後医育塾公開セミナー

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平成17年度 第3回公開セミナー「小児生活習慣病を防ぐには」

【講師】
熊本県葦北地域振興局保健福祉環境部長
佐藤 克之

『「地域と行政のパートナーシップによる食育」』
地域と行政が協力 食育の推進を図る


   平成十五年度から水俣・芦北地域で地域と行政のパートナーシップによる食育を実施しています。

 これまでの食育は、保健分野での妊婦への栄養指導や乳幼児検診、教育現場での学校給食、農林分野での安全な食材の提供や地産地消というように、それぞれの分野で取り組まれてきました。

 しかし個別の取り組みでは、乳幼児期の成果がなかなか学齢期に伝わりにくいことや、生産現場での取り組みが健康づくりとかみ合わないなどの課題がありました。

 そこで芦北地域振興局と芦北教育事務所が調整役となり、教育現場、生産者、流通・販売業、地域の人たちの参加を得て、パートナーシップを構築したのです。

 私たちは、食育とは望ましい食習慣を身につけることはもちろんですが、地域の産物や食文化についての理解も大事な視点であると考えています。このため子どもたちが目指す最終目標を「ふるさとを愛し、誇りに思う子ども」「自然に親しみ、思いやりのある子ども」としました。

 最終目標を達成するための健康目標は「子どもが心も体も健康である」というもので、適正体重や健康不安の解消などを目指します。心も体も健康であるには望ましい食習慣を確立する食生活目標を立てており、朝食摂取、偏食改善、孤食解消などを図ります。

 そして、その食生活目標を達成するために食育で取り組んでいる三本の柱が「子ども自身への食育」「保護者を含めた周囲のサポート能力の強化」「食環境の整備」です。

 まず「子ども自身への食育」では、健康に望ましい一汁二菜の献立を習慣づける四色のランチョンマットを作り、保育園の給食で使ってもらうようにしました。黄色の皿が主食のごはん、赤の皿が主菜の魚や肉、緑の皿が野菜などの副菜、白の皿が汁物です。

 また排せつ物から自分の体調を理解できるシールとシートを配布し、毎日観察するようにしています。“バナナうんち"は健康、“モコモコうんち"や“コロコロうんち"は野菜不足、ビチビチうんちは体調が悪いというものです。このほかブロッコリーやタマネギの栽培・収穫・料理の体験、味覚を育てるためのいりこのだし取りなどを実施しており、小学生は総合学習の時間に食改善推進委員の人たちから料理を教わっています。

 「周囲のサポート能力の強化」としては、夏休みや冬休みの親子料理教室に県が認定した「ふるさと食の名人さん」を招いて地元の食材を使った家庭料理を教わったり、小学生と保護者が漁師さんから魚のさばき方を教えてもらったりすることで、保護者の食育への関心が高まるようにしています。

 「食環境の整備」としては、県の事業である「健康づくり応援店」を十七店舗で展開しています。総菜店でのヘルシー弁当販売、レストランでのメニューへの栄養表示、コンビニでの栄養バランスを考慮した買い物をしてもらうための情報発信や体脂肪計の設置などが実施されており、店からは「栄養バランスの意味が理解できた」「消費者のニーズがつかめた」といった評価を得ています。

 これまでの取り組みを通じて、「子どもが食べ物に関心を示し、苦手な野菜を食べるようになった」「保護者の食への関心が高まった」「保育園や小学校は地域との交流が増えた」などの成果が得られ、手応えを感じています。