肥後医育塾公開セミナー

肥後医育塾公開セミナー
肥後医育塾公開セミナー

平成15年度 第3回公開セミナー「体力維持と健康法」

【講師】
西合志町保健福祉センター理学療法士
野崎 智美

『「介護予防とパワーリハビリテーションの実際?西合志町の取り組み?」』
楽しく体力アップを目指す 


   西合志町における介護保険の認定者は、平成十二年から十四年までの三年間をみると年々増える傾向にあります。そして介護の程度が軽い要支援から要介護2の人が認定者の六割を占めているのが特徴です。このことは何らかのリハビリをすれば、自立できる人や介護度の軽減が図れる人が多いことを意味しています。

 西合志町では介護認定者の八割は疾病が原因で要介護者となっています。その疾病の内訳は脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの循環器疾患が最も多く、骨折、腰痛、関節疾患などの筋骨格系の病気、次に精神や行動の障害となっています。これらの疾病を予防することが、要介護者を減らすことに有効なのです。

 私たちの施設が実施しているパワーリハビリテーションとは、マシーントレーニングを中心とする総合的なリハビリテーションを行うことです。
 ?手足などが動かしにくくなり思うように動けなくなる(動作性の低下)?筋力、持久力、精神力が弱まる(体力の低下)?家に閉じこもりがちになる(行動の縮小)―などを改善することを目指しています。

 西合志町のパワーリハビリテーション教室は、町保健福祉センターふれあい館で実施しています。マシーンを使っての運動ですので、個人の能力に合わせて負荷をかけます。軽い負荷で行うので、参加者は笑顔を浮かべながら取り組むことができます。このほか家庭でもできるバランス訓練、仰向けに寝てひざを立ててお尻を持ち上げるブリッジングなども行います。レクリエーションも実施し、楽しく体を動かしながら、筋力、バランス感覚が向上するように工夫しています。整理体操で訓練は終了します。

 家庭での訓練も大切です。ひざの屈伸、壁に向かっての腕立て伏せ、いすにつかまって立ち、片足立ちをする、いすに座って片足を水平に上げるなど、家庭でも簡単にできます。

 こうしたパワーリハビリテーションの結果、ほとんどの参加者で転倒防止、バランス感覚、歩行スピード、長距離歩行耐久性のいずれの運動能力も改善されました。中には要介護度が軽くなった方もいらっしゃいます。

 今後は多くの方が参加できるようにスタッフや設備を充実させることが課題となります。さらには教室を終了後も、継続して運動に取り組まれるようフォローしていきたいと思います。

 お年寄りがいつまでも自分らしく暮らしていけることに、私たちの取り組みが役立つように努力したいと思います。