肥後医育塾公開セミナー

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平成15年度 緊急フォーラム「新型肺炎?SARS?にそなえる」

【講師】
熊本県健康福祉部健康危機管理課長
横田 堅

『「熊本県におけるSARS対策」』
まずは保健所に相談を


   熊本県ではSARSの予防や発生に備え、県民への情報の提供や、医療、行政機関の体制を整備するといった対策を講じています。

 情報の提供では?相談窓口の設置?県のホームページに情報を掲載?パンフレットやポスター、マスコミを通じての広報活動―を行っています。医療や行政機関の体制としては?対応マニュアルの作成?医師会、感染症指定医療機関、保健所などで構成するSARS関係機関連絡会議の設置?患者搬送用機器の整備―などの対策をとっています。

 SARS対策では保健所が大きな役割を担います。SARSの全般的な相談や、疑わしい症状がある方の受診の相談を受け付けます。万一、患者が出た場合は、患者の搬送、接触者の調査と健康指導、施設などの消毒の指導を行います。

 SARS患者は感染症指定医療機関で治療されます。県内には十の医療機関が指定されており、合計四十八床の病床が用意されています。

 SARSウイルスの家庭や職場での消毒は、家庭用漂白剤が入手しやすい上、効果的です。消毒方法は、百倍に薄めた液でふいてください。ドアのノブやテーブルなど手がよく触れる部分は五十倍にうすめた液を使い、その後、からぶきしてください。薬局で売られている消毒用エタノールでも結構です。衣類や寝具は八〇度以上の熱湯に十分間以上浸した後、洗濯してください。消毒薬を使う際には注意書きをよく読んで、ゴム手袋などをして液が皮膚に付かないようにしてください。

 県では各保健所のほか県庁の健康危機管理課でも相談窓口を設けています。不安がある場合は遠慮なくご相談ください。

 県ではSARSの予防のため、県民の皆さんにご協力をお願いしています。まず流行地域への観光など、不要不急の渡航は延期を検討してください。やむを得ず渡航する方は、現地では人込みを避けマスクを着用してください。それから、手洗いとうがいを忘れずにしましょう。また、帰国されたら念のため十日間は人に会うのを最小限にしていただき、外出時はマスク着用をお願いします。十日間経過して症状が出なかったら、感染しなかったと考えられます。

 流行地域から帰国し、十日以内に症状が出たら、すぐに最寄りの保健所にご相談ください。受診する医療機関や交通手段などは保健所が指示いたします。直接医療機関に行かれると、受け入れの準備ができていませんので混乱します。ほかの人に感染する危険性もあります。どうぞ県民の皆さまのご協力をお願いいたします。