肥後医育塾公開セミナー

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平成14年度 第3回公開セミナー「高齢者と難聴」


(人口内耳手術体験者)
松村 紀彦

『「1年ぶりに聞こえ実感」』


   私は二年前の六月に聴力をなくし、その後、約一年間を何も聞こえない状態で過ごしました。しかし、昨年三月、熊本大学医学部附属病院で人工内耳の埋め込み手術を受け、聴力を取り戻すことに成功し、以前と変わらないように言葉でコミュニケーションを取ることができるようになりました。聴力をなくして一度失効した運転免許証を再び手にすることができ、手術を受けて本当に良かったと思っています。

 術後初めて先生の声を聞いたとき、音は聞こえるのですが、なんだかロボットの声のように感じました。しかしその後、何度かプログラムを入れ替えていくうち、自然な話し声に近づいていくのが分かりました。今では普通の人と同じように電話で話すこともできます。起きている時はずっと装着しており、もう人工内耳を手放すことはできません。

 人工内耳は埋め込み部分と、耳掛け式マイクの体外装置に分かれています。改善してほしいのは水濡れに弱い点。昨年夏、汗をかいてマイク部分を濡らしてしまい、二回ほど修理に出した経験があります。人工内耳の性能が今後さらに向上するよう期待しています。