【四季の風】
第43回 運動会
運動会は今は春から初夏にかけても多いが、本来は秋。天高く澄んだ空気。いかにも爽やかで、秋の季語。明治七年海軍兵学校の運動会が始まりという。 自分自身のときも子どもたちのときも、運動会にはたいした思い出はないが、孫となると別だ。転勤族の次女一家が新町に住んだことは、何よりうれしかった。伝統ある町で、幼稚園もかつての明治天皇の行在(あんざい)所。なかには違う方へ走ったり、そもそも走る気のない子がいたりして、笑い出すことばかり。周囲にいつの間にか増えたビルに、親子の賑(にぎ)やかな歓声が響く。 |
走る気はさらさらなくて運動会 中正 |
こだましてビルの谷間の運動会 〃 |
運動会午後へ白線引き直す 西村和子 |
だから、運動会が終わったあとは淋しい。とくに、過疎の島の小学校など、島民全員で盛り上がったあとの淋しさは、格別。 |
運動会跡を島の子かけまはる 平畑静塔 |