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「あれんじ」 2018年10月6日号

【四季の風】
第43回 運動会

 運動会は今は春から初夏にかけても多いが、本来は秋。天高く澄んだ空気。いかにも爽やかで、秋の季語。明治七年海軍兵学校の運動会が始まりという。

 自分自身のときも子どもたちのときも、運動会にはたいした思い出はないが、孫となると別だ。転勤族の次女一家が新町に住んだことは、何よりうれしかった。伝統ある町で、幼稚園もかつての明治天皇の行在(あんざい)所。なかには違う方へ走ったり、そもそも走る気のない子がいたりして、笑い出すことばかり。周囲にいつの間にか増えたビルに、親子の賑(にぎ)やかな歓声が響く。

走る気はさらさらなくて運動会     中正

こだましてビルの谷間の運動会      〃

 朝から午後へ白線を引き直すのも、運動会らしい風景。時々砂ぼこりを抑える水を打ったりする。


運動会午後へ白線引き直す       西村和子

 だから、運動会が終わったあとは淋しい。とくに、過疎の島の小学校など、島民全員で盛り上がったあとの淋しさは、格別。


運動会跡を島の子かけまはる      平畑静塔