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「あれんじ」 2016年10月1日号

【ママの心配・不安に応える 子育て応援クリニック】
川崎病

Q子どもがかかりやすい病気として川崎病の名前を聞きます。どんな病気でしょうか?

目や口の充血、手足が赤く腫れるなどの症状が

 川崎病は、おもに4歳ごろまでの小児に発症する全身の血管の炎症です。この病気を発見した小児科医の名前から、川崎病と呼ばれています。
心臓に血液を供給する血管である冠動脈にも炎症が起こることが特徴の一つです。免疫系の過剰な反応が起きているのですが、その原因はよく分かっていません。

 治療への反応が悪いときには冠動脈に動脈瘤ができ、心筋梗塞を起こして命にかかわることがあります。早い時期に治療し炎症を抑えることで、動脈瘤の発症を減らすことができます。

 主な症状として、

@ 発熱
A 目の充血
B 口唇や舌が真っ赤になる充血
C 皮膚の発疹
D 手足の発赤や腫れ
E 首の周囲のリンパ節の腫れ

などがあります。これらの全てがそろわなくても川崎病と診断されることがあります。


冠動脈の動脈瘤 発生の防止を

 治療には、ガンマグロブリン大量療法などが行われており、多くの場合は冠動脈の動脈瘤の発生を防ぐことができます。しかし、症状がはっきりしない場合や、治療への反応が悪い場合は、主な症状がほとんど治ってしまった後で動脈瘤が出現することもあります。治療が終わった後も、必要に応じて心臓のエコーの検査を受けて、動脈瘤が発生していないか確認することが大切です。

 川崎病と似た症状を示す病気として、細菌やウイルスによる感染症やリンパ節炎、自己免疫による病気などがあります。発熱の他に前述の症状のA〜Eのいずれかがみられる場合は、かかりつけ医に相談し、さらに検査が必要かどうかを尋ねてください。


全身の血管に炎症が起こる 小児の病気です
熊本大学大学院
生命科学研究部
小児科学分野
准教授 中村公俊