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「あれんじ」 2013年4月6日号

【熊本を知ろう〜熊本県松橋収蔵庫収蔵品から〜】
阿蘇の岩石

 県民から寄贈された熊本の自然と文化に関する貴重な学術資料が約64万点収蔵されている熊本県松橋収蔵庫。新シリーズでは、その収蔵品から熊本の歴史や文化、民俗、自然などについてもっと深く知ろうというものです。1回目は、阿蘇の岩石についてお伝えします。

貴重な資料となった「皿石」 新しい価値生じる資料も
阿蘇火山噴出岩類

 今回の資料は、阿蘇の中央火口丘群で見られる、溶岩などの火山噴出物でできた岩石です。マグマが冷えて固まった岩石なので、どれも同じようですが、並べてみると、色や表面の様子が一つ一つ違っています。これは、噴出した溶岩の成分の違いや、冷えて固まる時の状態の違いによるものです。
 現在活発に活動している中岳や、阿蘇五岳と呼ばれる火山から噴出した溶岩とは異なる岩石も多く見られます。これは、今の火山の下に、過去に活動した火山が埋もれて隠れていることを意味しています。
 また、皿石と呼ばれる岩石は、噴出して飛び散った溶岩が、冷えて固まる時に皿のような形になったもので、中岳火口の東南部に位置する砂千里で見られます。現在は採集禁止の場所であるため、貴重な資料となっています。
 資料を収集した時にはあまり珍しくないものであっても、採集ができなくなったり、新しい知識が得られたりすると、資料に新しい価値が生じる場合があります。従って、資料を分類・整理・保管する収蔵庫の仕事はとても大切なのです。 (松橋収蔵庫 川路芳弘)


皿石


Data

熊本県松橋収蔵庫
宇城市松橋町豊福1695
☎0964(34)3301

開館時間/ 10時〜17時
休館日/日曜、祝日、企画展示が開催されていない土曜日、年末年始

入館料/ 無料
駐車場/ あり
http://www.pref.kumamoto.jp/
site/shuuzouko/