【四季の風】
第21回 野遊び
早春の季語に「踏青(とうせい)」がある。「青き踏む」ともいうが、ちょっと古典的でおしゃれな言葉である。春先、青々と出はじめた草を踏んで散歩することである。いや「踏青」には、「逍遙(しょうよう)する」と言った方がふさわしいかもしれない。少し寒さもあるが、もうあたたかく、気持ちも大きく前向きになって歩くのである。 |
天上へ道あるごとく青き踏む 岩岡中正 |
これに対して、「野遊び」という季語がある。「踏青」より少しくだけたイメージだが、「ピクニック」と言うよりずっと優雅だ。 |