【講師】 |
『熊本県における認知症施策の推進について』
地域密着の医療機関の連携図る
超高齢社会を迎え、国は「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の、よい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を策定しました。これを受けて県では、3つの柱を立て、総合的な認知症施策を推進しています。
1つ目は医療体制の構築です。県は2009年に「熊本モデル」と呼ぶ、基幹型と地域拠点型の2層からなる認知症疾患医療センターを設置しました。これは翌10年に全国制度に取り入れられました。現在はさらに、地域拠点型とかかりつけ医、専門医療機関などが連携を図る、より地域に密着した3層構造の認知症医療体制「新熊本モデル」の構築を目指しています。
また県では、かかりつけ医などに対して認知症診断などに関するアドバイスを行う「認知症サポート医」の養成研修を進めています。
市町村では、認知症サポート医や医療職、介護職で構成される「認知症初期集中支援チーム」を設置し、認知症の疑いのある方の自宅を訪問することで早期診断・対応につなげ、自立生活をサポートしています。この支援チームが来年度までに県内全ての市町村に配置されることを目指しています。
2つ目は介護体制の構築です。認知症ケアの質の向上に向けて、介護事業者や介護者向けの研修を実施するとともに、希望する施設などには認知症ケア・アドバイザーを派遣しています。
3つ目は地域支援体制の構築です。認知症に関する相談は、市町村の地域包括支援センターや医療機関などで受け付けていますが、それに加えて県と熊本市は、「認知症の人と家族の会」に運営をお願いし、介護に関して電話で相談できるコールセンター「認知症ほっとコール」(電話096-355-1755)を開設しています。14年5月には、九州で初めて若年性認知症支援コーディネーターをコールセンターに配置しました。コールセンターでは、患者家族の交流会開催支援も行っています。
さらに、認知症の人を支援する関係者の連携促進や認知症の人やその家族の支援等を担う認知症地域支援推進員を、県内40市町村が配置しています。
そして「認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守る応援者」である認知症サポーターは県内に約26万人(今年6月時点)おり、県人口に占めるサポーターの割合が7年連続で日本一となっています。
認知症への取り組みは、多くの関係者の連携が必要です。これまで以上に皆さまのご支援をお願いします。