肥後医育塾公開セミナー

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平成27年度 第3回公開セミナー「職場のメンタルヘルス」

【講師】
パナソニックプレシジョンデバイス株式会社 保健師
尾池 千賀子

『≪講演B≫メンタルヘルス不調、予防と職場復帰支援の実際』
多くの関係者の連携により 休職者の復職支援を推進中


   当社は玉名郡和水町にある従業員約400人の会社で、ノートパソコン用の光ディスクドライブや産業用印刷機のインクジェットヘッドなどを開発・生産・販売しています。
 当社のストレス調査は、職業性ストレス簡易調査票と職場環境アンケート(MIRROR)を活用し、5年間継続して実施してきました。これは、職場改善を目的とするもので、回答は無記名で行っています。回答率はほぼ100%です。
 結果はまず健康管理室で分析し、メンタルヘルス部会で対策について検討後、安全衛生委員会で審議します。そして、職場責任者へのフィードバック・改善の実施という流れで行っています。
 調査では、仕事のコントロール、仕事の量的負担、同僚の支援、上司の支援の4つの軸からストレスを評価し、全国平均、事業所・職場の平均と比較できるようになっています。
 調査結果は部署の管理職に個別に渡し、職場懇談会で良い点と職場の課題を共有し、改善策を具体的に話し合ってもらいます。3カ月後には、改善事項に対してどの程度達成できたかを管理職自身に評価してもらいます。このように、定期的に管理職と連携を図りながら職場改善を進めてきました。
 昨年12月からは50人以上の事業所を対象にストレスチェックが義務化されましたので、当社の職場ストレス調査もこの機会に、見直しを予定しています。
 休職者の復職支援については、休職中、月に1回以上は本人と電話で連絡を取り合うようにしています。会社に出て来られるようになったら面談に来てもらい、産業医、職場の上司、人事担当者、それから可能な限りご家族にも同席いただいて、内容を共有することをお願いしています。
 面談の結果、一定の回復状態にあると判断されたら、10日間の試し出社を経て、出勤状況、業務の遂行状況、コミュニケーションの状態、健康状態を確認します。試し出社の評価も合わせて復職面談を行い、復職が可能な場合は半年から1年間の慣らし勤務に入ります。慣らし勤務の期間中は、段階的に業務負荷を上げていき、再休職を予防しています。
 最近は公的機関や民間の病院で、生活リズム、コミュニケーションスキル、職場ストレスへの対処法などを習得する「リワークプログラム」を受ける人が多くなりました。現在は復職した人のほぼ全員が体験しており、再休職者はこの数年間、一人も出ていない状況が続いています。
 効果的な休復職支援にするためには関係者の連携・サポートが大変重要だと思っています。