肥後医育塾公開セミナー

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平成27年度 第1回公開セミナー「泌尿器科の病気を知ろう!」

【講師】
熊本泌尿器科病院 泌尿器科 医師
谷川 史城(ふみき)

『講演C 尿管結石症について 〜診断と治療〜』
発作的に生じる激しい痛み 原因の一部には生活習慣も


   尿管結石症は、男性が7人に1人、女性が15人に1人の割合で罹患(りかん)する、非常に多い病気です。
 結石は腎臓の中でつくられます。腎臓の中に収まっているうちは痛みがありませんが、尿管に石が落ち込むと発作的な激しい痛みが生じます。七転八倒の苦しみで多くは脇腹から背中、腰にかけて痛みがあります。冷や汗が出て、吐き気がしてくることもよくあります。また、結石が尿管を動き周囲の組織を傷つけるため血尿が出ます。
 小さい結石だと自然に排出されることがあり、その割合は大きさが2〜5ミリまでなら8割程度、6〜8ミリだと5割ぐらいといわれています。ただ結石が出ても、腎臓の中で再発し、5年間で半分ぐらいの人にまた石が出来ます。再発防止のためには水分を十分に取るようにし、尿を薄めることが大事です。
 検査方法は、尿検査の他、レントゲンや超音波がありますが、レントゲンに写りにくいタイプの結石もあり、また、超音波では腸内のガスが邪魔して尿管結石が見えないことがあります。CT検査が一番はっきり確認できます。
 治療の対象は、自然と出にくい7〜8ミリ以上の大きさの結石です。ガイドラインでは10ミリ未満の結石は自然に出ることも期待できるとしていますが、大きめだと出にくく、停滞すると腎臓によくないため経験上、7〜8ミリ以上が適当と考えます。
 治療法は大きく分けて3つ。1つ目は体外衝撃波結石破砕術です。体の外から衝撃波を当てて石を砕く治療法です。1時間ほどで済み、宿泊入院も必要ありません。1度で破砕されない場合は、何回か繰り返し治療することもあります。再発した場合も、何度でも受けられます。
 2つ目は、内視鏡を使う経尿道的結石砕石術。全身麻酔または下半身麻酔をかけ、尿管の中に内視鏡を通し、結石を見つけてレーザーなどで石を砕き取り出します。数日から1週間程度の入院が必要になります。
 3つ目は、経皮的腎砕石術。2センチを超えるような大きな腎臓の中の結石に対する治療です。超音波画像を見ながら腎臓に針を刺して穴を空け、石を少しずつ砕いて、その穴から破片を取り出していく方法です。全身麻酔が必要で、他の治療と比較しある程度体に負担がかかる治療になります。
 尿管結石の原因には、結石の成分となる尿内物質の過剰、結石の抑制物質の減少があります。腎臓や尿路の病気をはじめ、年齢、性別、遺伝、季節(夏)、ストレスが関係しています。また、偏食、飲水不足、夜遅く重い夕食など、生活習慣と関係があるともいわれています。結石は早めに発見して治療していきましょう。