肥後医育塾公開セミナー

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平成26年度 第1回公開セミナー「生活習慣から消化器の病気を考えてみよう」

【講師】
熊本中央病院栄養科 科長
村岡 まき子

『講演(5) 食事・栄養面の生活習慣』
日本型の食生活基本に


  この数十年の間に日本人の生活は様変わりし、肥満が増加しています。食事内容が欧米化し、肉類や菓子類、脂(油)の使用量が増えました。逆に、食物繊維を多く含む野菜の摂取量は非常に減っています。その一方で、自動車や家庭電化製品の普及に伴い、生活の中での運動量は減っています。
 食事からの摂取エネルギーに対し、運動で使う消費エネルギーが少なくなると、どうしても肥満になります。1日に必要な適正エネルギーは、その人の体格や仕事により異なりますが、身長165センチの人は1日に1800キロiのエネルギーが必要になります。これを3回で割ると、食事1回当たり600キロiが適正という計算になります。
 例えば、カツ丼、ラーメンなど肉や油の多い食事では単品で1000キロi程度になり、間食で菓子パンなどを食べるとさらに500キロiも取ってしまうことになります。
 減量では、お米のご飯を減らすことを真っ先に考えがちですが、日本型食生活の基本は米飯です。お米を食べないと満足感が得られない分、カロリーの高い肉や魚を多く食べるようになり、間食も増えます。ただ、ご飯がカツ丼やチャーハン、カレーなどになると油が多くなり、カロリーが高くなるので注意が必要です。
 日本型の食生活である米飯、主菜(肉・魚・卵など)、副菜(野菜2品程度)をそろえて、油の使用を控えるとエネルギーを抑えられ、間食に果物や牛乳を取ると満足感はさらに高くなります。
 主菜の取り方は、卵1個、大豆製品なら豆腐3分の1か納豆1パック、肉と魚は手のひらの半分の量(60グラム)、それらのうちのどれか一つが、毎食の主菜の目安です。野菜は、食物繊維が不足しないよう1日350グラムを目標に、毎食1皿か2皿(こぶし1つか2つ分)を食べるようにしてください。
 果物については、糖分が多いといわれますが、ビタミンCを多く含み、菓子類に比べると格段にカロリーが低いのです。
 規則正しい食事でお腹のリズムを整えましょう。それには、朝食を取り排便を促す、3食をきちんと食べ間食を減らす、寝る前の食事を控える、食べ過ぎに注意する、運動習慣を身に付ける、飲酒は適量、飲まない日を設ける、たばこを吸わないようにする─などが大事です。
 日本型の食生活と日常の運動で肥満を予防し、消化器の病気や生活習慣病の予防につなげてください。