【講師】 |
『《講演A》ロコチェックとロコトレのポイント〜実技を交えて〜』
衰えを早めに発見し訓練
骨や関節、筋肉など運動器の衰えはひそかに進行します。健康長寿を達成するには、ロコチェックやロコモ度テストで衰えを早めに発見し、ロコトレ(ロコモーショントレーニング)で予防することが大事です。
ロコチェックは7つの項目があり、いつもの生活を振り返って自己診断します。@「家の中でつまずいたり滑ったりする」A「階段を上るのに手すりが必要である」B「15分ぐらい続けて歩くことができない」C「横断歩道を青信号で渡りきれない」D「片脚立ちで靴下がはけない」(確かめるときは転倒に注意)E「2キログラム程度の買い物をして持ち帰るのが困難である」(カートなどを使わず1リットルの牛乳パック2個程度)F「家のやや重い仕事が困難である」(20分ほど掃除機を使うなど)─。このうち1つでも当てはまればロコモの心配があります。
他に、年代相応の平均値と比較する、3つのロコモ度テストがあります。
1つ目は「ロコモ25」。これは体の痛みや日常生活で困難なことに関する25の質問に答えるアンケートで、「痛くない」「困難でない」「不安はない」などの答えを0点、「ひどく困難」「ひどく痛い」「ひどく不安」などを4点として5段階で答え、25項目の合計点数を出します。
2つ目は脚力を調べる「立ち上がりテスト」。高さ10・20・30・40センチの4つの台を用意し、まず40センチの台に両腕を組んで腰掛け、床とすねの角度が70度になるようにして両脚で立ち上がり、3秒間姿勢を保ちます。次に片脚だけで立ち上がり、3秒間姿勢を保てるかテストします。成功すれば10センチずつ低い台に移り、テストを繰り返します。
3つ目は歩幅を測る「2ステップテスト」。大股で2歩歩き、2歩幅を身長で割った値を出します。この値で下肢の筋力・バランス能力・柔軟性などを含めた歩行能力を総合的に評価することができます。「立ち上がりテスト」や「2ステップテスト」は台や転ばないように介助者が必要です。通常は1つ目のロコモ25でテストするのが良いでしょう。
ロコモ度テストは、年代別に平均点が決められています。平均値に達しない人は、ロコトレを始めてください。
ロコトレの代表的なものは、バランス能力をつけるための「片脚立ち」と、足腰の筋力をつけるための「スクワット」です。
片脚立ちは目を開け、転倒しないよう、必ずつかまるものがある場所で、片脚が床につかない程度に上げ、左右1分間ずつ、1日に3回行ってください。
スクワットは、肩幅より少し足を広げて立ち、膝がつま先より前に出ないようにし、椅子に腰かけるように、お尻をゆっくり下ろします。深呼吸するペースで5〜6回繰り返し、1日に3回行ってください。どちらのロコトレも支えが必要な人は机に手や指をついてもかまいません。
ロコトレは1年中、どこでもできます。ぜひ毎日、続けるようにしてください。