【講師】 |
『慢性呼吸器疾患(ぜんそく、タバコ肺など)の治療とリハビリ』
地域連携で支援を強化 日常生活の水準高める
まず、ぜんそくについて説明します。ぜんそくは慢性の病気で、発作でないときも気道がやけどしたような状態で刺激を受けやすくなっています。子どもにとって最も頻度が高い慢性疾患です。ぜんそくは、完治はしませんが、発作を起こさないようにすることは可能ですから、二次予防が大切です。
発作の予防にはステロイド吸入が有効です。ステロイドというと、あまり良い印象を持たれないかもしれませんが、吸入したものは気道と肺までしか届かないため、安心してください。たばこの煙や動物の体毛、ハウスダストなども、ぜんそくにはよくありません。
「COPD」(慢性閉塞性肺疾患)、いわゆるタバコ肺では、肺が壊れ、気道も壁が厚くなり、息切れやたんが出るなどの症状が見られます。予防は、とにかくたばこを吸わないこと。タバコ肺の発症や悪化には、職場や公衆の場での受動喫煙も影響があります。
タバコ肺が進んだ状態で医師にできることは禁煙指導と薬物療法です。酸素投与や人工呼吸を行うこともあります。タバコ肺の外科療法はリスクも大きく、確立されていません。
呼吸器系でも、包括的リハビリがとても重要です。患者さんを、健常者と同じ日常生活が送れるようなレベルに持っていくには、病気に関する教育や薬・酸素の投与、栄養面の配慮、理学療法、運動の指導、社交活動などの支援を徹底していかなければなりません。
リハビリが必要な患者さんのために、現在、急性期の病院とリハビリ専門病院が地域連携を図り、サポート体制を強化しています。質の高い医療が提供できるよう、「急性期ではこういうことをする」「ある程度症状が改善されたら、慢性期でこういうリハビリを行う」というふうに、疾患ごとに入院から退院までの経過や検査のスケジュールを作成しています。
急性期に比べ、慢性期にはやるべきことが数多くあります。急性期を過ぎたらできるだけ早く、リハビリの充実した病院に移った方が、その後の回復は早いと思います。