加齢に伴う首(頚椎(けいつい))の整形外科疾患 |
肩の痛みや手のしびれだけでなく、足のふらつきや排尿障害などさまざまな症状が現れる、加齢に伴う頸椎の疾患。今回は、頸椎の整形外科疾患についてお伝えします |
はじめに |
[図1]頚椎
首の骨は7つの骨(頚椎)が重なってできており、それらの骨と骨の間には軟骨でできた椎間板(ついかんばん)が挟まれてクッションの役割を果たしています(図1)。頚椎の後方には骨(椎弓(ついきゅう))、椎間板、靱帯(じんたい)(骨と骨をつないでいる強じんな線維組織)で囲まれ閉ざされた空間(脊柱管(せきちゅうかん))があり、その空間を、脳につながる神経系の本幹(脊髄(せきずい))が腰部まで通っています。さらに頚椎の骨と骨の間からはそれぞれ左右1本ずつ脊髄から神経の枝(神経根)が出ており、手の運動や感覚を支配しています。脊髄や神経根は閉ざされた空間を走っていることから、加齢に伴い、骨、椎間板、靱帯が傷み、脊柱管内に突出してくると、圧迫を受けて症状が出てきます。頚椎の加齢に伴う病気としては、以下の病気が挙げられます。 |
頚椎椎間板ヘルニア |
[図2]椎間板ヘルニア
椎間板は、上記のように各頚椎骨の間にあり、衝撃に対するクッションの役目を果たしています。椎間板の変性は20歳代に始まるといわれています。変性して椎間板に亀裂が入ることにより、後方にある脊柱管に椎間板が飛び出てくるのが椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアの飛び出た場所によって、脊髄あるいは神経根を圧迫刺激するので、さまざまな症状を呈します。 |
頚椎症 |
頚椎、椎間板あるいは靱帯は年をとるにつれて傷んできます(変性)。その中でも椎間板は早期から変性しやすく、椎間板の変性により椎間板の厚さが薄くなります。それにより頚椎にも骨の変形、出っ張り(骨棘(こつきょく))が生じ、靱帯も厚くなってきます。これらの変化のため、骨、椎間板あるいは靱帯の一部が神経の通り道に出てくることにより、さまざまな症状が出てきます。脊髄を圧迫すると脊髄症と呼ばれ、神経根を圧迫すると神経根症と呼ばれます。 |
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最後に |
加齢に伴う頚椎の変性疾患の中でも、頚椎症性脊髄症は、両手、両足のしびれ、手が使いにくい、歩行時にふらつくなどの症状で発症することが多く、脳の病気ではないかと心配される方もいらっしゃいます。そのような症状を認めた場合は一度近くの専門の医療機関を受診することをおすすめいたします。 |