未破裂脳動脈瘤(りゅう) |
発症するとおよそ1/3が亡くなるくも膜下出血の一番の原因は、脳動脈瘤の破裂です。破裂を繰り返すほど死亡率が高くなります。しかし、未然にくも膜下出血を防ぐことができたら、脳動脈瘤を恐れる必要はありません。最近、MRI検査が普及し、破れる前(未破裂)の脳動脈瘤が見つかるようになってきました。今回は、未破裂脳動脈瘤に関して現在分かっている情報を、対処法とともにお伝えします。 |
未破裂脳動脈瘤の割合 |
[図1]
わが国では、成人の2〜6%(100人に数人)に未破裂の脳動脈瘤が見つかっています。大きさは2o程度の小さなものから25o以上の大きなものまでありますが、全体の4分の3は10o未満の大きさです。一方、破裂してくも膜下出血で発症する患者さんの割合は、年間1万人あたり1〜2人と言われています。したがって、人口1万人の町の場合、200〜600人が未破裂の脳動脈瘤を持っていて、そのうちの1人か2人が一年間にくも膜下出血として発症していることになります。つまり、未破裂脳動脈瘤を持っている人がすべて破裂して発症するわけではなく、むしろほとんどの方は破裂しないまま生涯を終えていることが分かってきました。今後、画像診断の進歩や検診受診者の増加により、未破裂脳動脈瘤の発見率はもっと上がると予想されています。 |
破裂しやすい 未破裂脳動脈瘤のタイプ |
[図2]
@大きさが直径10o以上のもの |
未破裂脳動脈瘤への対処法 |
未破裂脳動脈瘤に対する現在の対処法は次の3つです。 |
最後に |
未破裂脳動脈瘤が見つかっても、くも膜下出血になる確率は意外に低いので、まずは気を落ち着かせて、血圧が上がらないように注意しましょう。次に、脳神経外科専門医あるいは脳血管内治療専門医による十分な説明を受け、納得した上で、あなたに最も適した対処法を決めることが重要です。セカンドオピニオンを利用することも良いでしょう。 |
熊本大学講師
医学部附属病院脳神経外科 甲斐 豊 |