肺がん |
年々増加し、がんの部位別死亡率で、男性は90年代から1位という肺がん。 今回は、肺がんの診断や治療、今後の展望などについてお伝えします。 |
肺とは |
[図1]正面より肺を見る
肺は呼吸をつかさどる臓器で、右肺は上葉、中葉、下葉の3つの肺葉に、左肺は上葉と下葉の2つに分かれます(図1)。さらに、肺葉は区域という単位に分けることができます。最終的には肺胞という大きさ0.1―0.2mmの小さい部屋に分かれます。この肺胞に接して毛細血管が走行しており、ここで酸素と二酸化炭素のガス交換が行われます。 |
肺がんの現状 |
[図2]部位別がん粗死亡率(男女別)(1958年〜2005年)
国立がんセンターホームページより引用 http://ganjoho.ncc.go.jp/pro/statistics/gdb_trend.html?1%3 肺がんは年々増加しています(図2)。グラフは2005年までの死亡率を示していますが、2007年には男性4万7685人、女性1万7923人が肺がんで死亡しています。わが国のがんの部位別死亡率において、肺がんは男性では90年代から1位となり、女性でも2007年には胃がんを抜いて2位になりました(1位は大腸がんです。グラフでは大腸がんを結腸がんと直腸がんに分けて示してあります)。肺がんは、顕微鏡検査で、腺がん、扁平(へんぺい)上皮がん、大細胞がん、小細胞がんの4つに分類されます。扁平上皮がんと小細胞がんは、喫煙との関連が指摘されています。この4種の肺がんは治療法の違いから、小細胞がんと非小細胞がんに大別されます。 |
肺がんの治療 |
治療法の選択について、非小細胞がんを表1に、そして小細胞がんを表2に示します。非小細胞がんでは、病期TA−UB期(周囲臓器への浸潤(しんじゅん)がな いか、あっても限局的である。リンパ節転移があっても病巣の近くに限られる)が手術の対象でVAおよびVB期の症例は手術を行うかどうかを個別に判断します。手術以外の治療法として、放射線治療と抗がん剤治療があります。また、患者さんの体力も治療法選択の重要な要素です。一方、前述のように小細胞がんの場合は抗がん剤や放射線治療が主体ですが、限局型の場合、手術療法を併用する場合もあります。 |
最後に |
熊本大学講師
医学部附属病院呼吸器外科 森 毅 肺がんの予防に限らず、禁煙は重要な課題です。喫煙者への禁煙指導、公共の場所での分煙なども重要ですが、若年者の喫煙防止が最も重要と考えます。このためには小学生時代からたばこの害について教育することが必要だと思います。 |