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2008年 「まいらいふ」11月号

「内臓脂肪型肥満」って何だろう? 
それほど太っているようには見えない夫(49歳)ですが、ここ2、3年でおなか周りが大きくなりました。本人は「中年太り」と笑っていますが、最近よく聞く「内臓脂肪型肥満」でしょうか。

内臓脂肪型肥満とは

脂肪が必要以上に蓄積した状態が「肥満」ですが、内臓脂肪型肥満とは、主におなかの中の内臓の周囲、具体的には腸間膜※1という部分に、大量の脂肪がたまった状態のことです。また、肥満でなくとも内臓脂肪がたまっている人もいます。楽な姿勢で息を軽く吐き、一番周囲の長そうな場所(普通はおへそのあたり)をメジャーで測ります。男性で85センチ、女性で90センチ以上あれば、内臓脂肪が蓄積していると推定され、この条件を満たすと、メタボリックシンドロームの「有資格者」と判定されます。
 特に症状があるわけではありませんが、検査すると、血圧や血糖値が高めだったり、中性脂肪、コレステロールの値が異常を示したりすることが多いのです。これらのうち、いくつかの条件がそろうと、メタボリックシンドロームと診断されます。つまり内臓脂肪蓄積が「メタボ」発症の背景となっているのです。


原因

肥満の原因は、エネルギーの収支が黒字であることです。収入の部は、飲食によるエネルギー摂取。支出の部は、基礎代謝(安静時の消費エネルギー)、運動による消費エネルギー、食事熱(消化・吸収のために必要な消費エネルギー)の3つを合わせたものです。基礎代謝には個人差があるため、同じ食事、同じ運動をしても、脂肪の蓄積に差がつきます。たまる脂肪は、皮下脂肪と、前述の内臓脂肪の2つに分けられます。詳しいことは省略しますが、皮下脂肪は善玉脂肪で、内臓脂肪は悪玉脂肪であると言ってよいでしょう。


改善策・予防法
熊本大学医学部附属病院
代謝・内分泌内科 
講師
宮村信博

食事や運動などの生活習慣を改善しましょう。動物性脂肪と単純糖質(お砂糖などを使用した甘い食品)を極力控え、息が少しはずむ程度の運動(有酸素運動)をできるだけ長く行いましょう。下半身の筋肉を使う運動(ウオーキング、ハイキング、ジョギングなど)が効果的です。全身の運動でエネルギーの収支バランスが赤字になったとき、その分を補うために、体内にある各所の脂肪が、燃焼しやすい順番で使われていくのです。幸い、内臓脂肪の方が先に使われるため、皮下脂肪よりも減らしやすくなっています。
 運動による消費の割合を増やせば、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常症※2などの予防にもつながります。生活の中に運動をぜひ取り入れてください。

※1 大腸や小腸を連結させておなかの中の定位置におさまらせている薄い膜。
※ 2 以前は高脂血症といわれていましたが、高い方が望ましく低いと困る脂質(HDLコレステロール)もあるため、誤解を避けるために名称が変更されています。